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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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ネコ街のしっぽ 

森影に山百合が咲き始めた7月中旬、午前中がぽっかり空いていたので、先日、やっと探し当てた隠れた庭園
“臨川庭園”に行ってみた。

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この“臨川庭園”は、戦後活躍した青梅出身の政治家、津雲氏が所有していた庭園らしい。
現在は市に寄贈され、市が管理しているそうだが、知る人ぞ知るといった感じの庭園で、場所もネコ街の外れにあるので、ネコ街のしっぽと言うことにした。(笑)

ネコ街もしっぽに行くにしたがって、うっそうとした緑に包まれ始める。
前回は、雨も降っていて時間もなかったので、慌しく歩いたので、今回は違う道も歩いてみようと思い少し先まで行ってみる。

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すると、メインストリート沿いに、何だか面白そうなお店がある事に気づいた。
こんもりした木立ちに囲まれた民家で、ノボリが立ってなければ、お店とは気づかないで通り過ぎてしまっただろう。
“岩村コレクション”“ギャラリー”“歌声喫茶”などの文字が興味をそそる。
最近、素敵なお店や怪しいお店を見つけるのが趣味になりつつあるようで、これは、ぜひ帰りに寄って見たいと思ったのだった。

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道脇にうっそうと繁る緑の森は、小さな川がかなり下の方を流れている。
なんとなく、懐かしいような気持ちで、森の中の小道を辿って行くと、ぱっと目の前が開け、小高い丘のような場所に出た。
眼下には緩やかな多摩川の流れが緑の堤に囲まれるように流れ、その中に点在するように街並が見渡せる。
心地良い風が通り抜け、眩しい青空が続いているそんな場所。

宮崎駿のアニメ“耳を澄ませば”のモデルになった街に似ている。
あの街も、ここよりももう少し下流になるが、多摩川の流れる街だ。
つい、主題歌の“カントリーロード”を口ずさみたくなった。

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その一角に、風見のプロペラが取り付けられたお宅があった。
なんて素敵なお宅なんだろうと思ったら、樹木医の看板が目に留まった。
樹のお医者さんなんだ…樹が好きなわたしにとって、素敵な職業だと思えるのだった。
坂の街に点在する家々は、どこかゆったりとしていて、別荘地のような佇まいなのだった。

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今日は、“臨川庭園”の門は開いていた。
古めかしい木戸が、「さぁ、どうぞ」と言うように観音開きに開かれていた。

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燦燦と降り注ぐ陽射しに、セミの声…
川のせせらぎ、草いきれの香りが、いっきに真夏を連れてきたようだった。

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庭園の中はすぐに回ってしまえるほどこじんまりしているが、たくさんの木々が繁っている。
梢には、野鳥も来て囀っていた。花は端境期なのだろうか、あまりなかったが山百合の花が咲いていた。
大きな石の上に、ぽとりと落ちた花びらがなんとなく印象に残ってカメラを向けた。

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夏の日差しを受けて、山百合の花が岩に落ちた花びらと影が印象的だった。
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紫陽花もたくさんあったが、やはり夏になると一気にその花色はかげりをみせはじめ
る。少し、くすんだ花色も季節の移ろいを物語っているように健気に木陰で咲き続け
ていた。季節が通り過ぎても散れない花は何を想っているのだろうか…。

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まだ、開いたばかりの綺麗な花もあったので、そっとカメラを向けてみた。
清楚な白い花びらに、うっすらと紅を引いたように…

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美しい青…水色の毬のように、木陰にひっそりと紫陽花はうつむいて咲いていた。

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臨川庭園は、津雲氏が、この場所から多摩川を眺めるのが好きで、そう呼んでいたことから付けられた名前だそうだ。

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東屋から眺めると、杉木立ち越しに緩やかにカーブする川が眺められる。
前日の大雨がたたって、今日は少し濁った水なのが残念だった。

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眩しすぎる日差しの中でヒオウギスイセンの花が、鮮やかなオレンジの花色で咲いていた。
子供の頃、たしか金魚草と教えてもらったような気がする。
庭の片隅の、濃くなった夏の緑の草陰で泳いでいるオレンジ色の金魚…
そんな感じがする可愛い花だ。

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そんなキンギョソウに、ツユムシがとまっていた。
しなやかな触覚が美しい、生まれたばかりのツユムシだろうか?

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あら?小さな枯山水の石の庭で、しなやかな黒いネコが一心に何かとじゃれている。
あの雨の日に写真を撮らせてくれた黒猫だった。
きっと、トカゲでも捕まえようとしてるのかもしれない。

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真っ黒な毛並みが、太陽の光で虹色に輝いていた。しばらく見ていると猫はようやく
顔をあげわたしを見上げた。葡萄色の瞳が美しく澄んでいた。

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咲き残ったくちなしの花が、甘い香りを漂わせ

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山吹の花は、茶色の実を結んだ。

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楓の新緑も、中には、こんなに黄金色に輝く木もある。何ともいえない不思議な色合いにため息が漏れる。
真夏の太陽が全く良く似合っているものだと思った。

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この庭園を見下ろせる小高い場所に、小さなお茶室がある。
障子を開け放すと風が吹きぬけていく、眺めのよい茶室だった。
希望者は市に申し込めば使用できるそうだ。
秋の一日など、こんな静かな庭園を望みながらお茶会を催すのも、なかなか風情があるだろうと思った。

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ここを管理されているおじさんと少しお話をさせていただいた。
やはりあまり訪れる人はいないらしい。
穏やかな語り口と笑顔が優しげな人だった。
『秋は、紅葉が綺麗ですよ。ぜひ、また、お越しください。』おじさんはそう言っ
て、『さて、もう少し、庭の手入れをしましょうか』と腰をあげた。

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“臨川庭園”の門を出ようとした時、モンシロチョウがわたしの回りをひらひらと飛ぶ
今まで、モンシロチョウの手乗りは成功したことがなかったが、この子は、なんとなく止まってくれそうな気がして、そっと手を差し伸べてみた。
蝶は、三回ほど指先に乗ってくれた。嬉しかった。

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わたしは、裏木戸をくぐって外へ出て、来た道を辿った。

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「あっ、あったわ!」
この前、次に来た時には消えているんじゃないかな?と思った小さな神社は今日も夏草に埋もれて佇んでいた。

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草を踏んで狛犬の側に立つと、ドクダミノ香りがツンと鼻を突いた。

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狛犬の頭の上には、カゲロウの抜け殻がひとつ…
あの長い尻尾もちゃんと付いているんだなぁと、感心してしまった。

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蛍が飛びそうな小さな川も流れていた。
でも、草が深いので蛇にあったら嫌なので、奥へは進まず帰り道を辿った。

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こっちに行っても大丈夫そうなので竹林の道を辿ってみる。

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森脇の木陰の道には、ヤブガラシの花が絡みつきながら砂糖菓子のような花を咲かせていた。
雑草と言われる花だけれど、子どもの時から何故か好きだった。

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オレンジとピンクのちいさな花が、星座のように瞬いて見えるのだった。
取るに足らないような道端の雑草の花にも小さな空があるようで、自然の不思議を思ったりした。

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清々しい森影の小道を辿ると、ムラサキツユクサも、青い瞳で挨拶してくれた。
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この花も子どもの頃から好きな花だ。とても綺麗な青い花びらの色に惹かれるのだった。。

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そんな寄り道をしながら、先ほどのお店の前に戻ってきた。
引き戸を開けて中に入ると、なんとも不思議な空間だった。

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グランドピアノの蓋を利用したテーブル。

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応対に現われたオーナーの女性は気さくにいろいろお話してくださった。
この家は、代々、すぐ向かいにある神社の神主さんをしておられたそうで、家の蔵の中にはいろいろな古い物が埋もれていたのだそうだ。
よれよれになって紙屑のように丸められていたものを広げてみると、先代が明治時代の頃に収集したと見られるような物や、戦争で疎開していた時に、疎開先で書いた絵画などがたくさん出てきたそうだ。
それらを、専門のお店で、綺麗に再生してもらったのだそうだ。

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蔵も見せていただいたが、蔵の中にはグランドピアノが置かれ、
明治時代の相撲絵とか、墨絵とか、与謝野晶子自筆の掛け軸とか、そうかと思えばペ
イネや外国の画家が書いた絵画とか…とにかくいろいろなものがあった。
『最初は、この蔵で貸しスタジオでもやろうかと思ってピアノを置いたりしたのです
がまだ実現してないんですよ』と、案内してくださったオーナーさんは明るく笑った。

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向かって右が与謝野晶子の実筆。左が西郷隆盛の書の先生のもの

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喫茶店の方にも大正琴やら、エレクトーンなどが置かれていて、ピアノの蓋を利用し
たテーブルとかなかなかアイデアマンのオーナーさんだった。

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そして、そのアイデアの一つが、ここで、週1で「歌声喫茶」が開かれるのだそう
だ。
わたしは最初、カラオケのことかと思ったが、そうではないのだと言う。
歌声喫茶とは、ジャズ喫茶などの前身なのだそうだ。
時代は戦後の復興が終わり、高度成長期に入った頃、喫茶店に集まった若者たちが熱く語り合い、やがてピアノやアコーディオンなどを伴奏にパワフルに歌いあうようになったそうだ。

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このお店で「歌声喫茶」を再現してみると、当時、歌声喫茶でよく歌っていたと言
う、お年寄りたちが集まりみなさん熱唱されるようになったのだと言う。
リクエストのあった曲を、ご主人が歌詞カードを作り、奥様がエレクトーンで演奏す
る。なんだか、パワフルで素敵な光景が目に浮かんだ。

このお宅は、一時期楽器屋さんも営んだことがあり、その時の名残りだといって、7
0年代の楽譜が売られていた。中には、拓郎や、かぐや姫の楽譜が残っていて懐かし
くて手にとって見させていただいた。

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若々しい拓郎
しなやかでかっこよくて、そして、今見ると、かわいい!

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“今はまだ人生を語らず”このジャケット好きだなぁ。

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こちらは、かぐや姫
南こうせつさんの歌は抜群に上手だった。

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懐かしいなぁ…

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その中には、初々しい拓郎や、かぐや姫のポートレートがたくさんあって、思わず引き込まれてしまった。
わたしは、不思議なお店を後にして、半日の散策を終わったのだった。


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