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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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雨の午後… 

時おり強く降る雨の午後、小降りになって来たので、いつもの街を歩いた。
睡蓮の咲く池には、雨粒の小さな波紋が広がっていた。
半夏生の白い花が、重なり合って、雨に煙るように咲いていた。

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緑滴る池のほとりには、いつの間にか鮮やかなノカンゾウの花が咲き始めていた。
朱色の花が雨に濡れて、はっとするほど鮮やかだった。
花の命は一日だという…この花を見ると、やはりあなたを思い出す。
一日限りでしおれていく花なのに何故か凛として力強く見える、
じりじりとした夏の日差しさえ、跳ね返すように咲いている。
ひそやかだけれど情熱的に咲いているのは、儚なさゆえなのだろうか。

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ネコじゃらしの緑のしっぽ…ほんわりと優しく、風に揺れる姿が好きだけれど、
雨のしずくをいっぱいまとった姿もかわいい。
秋の陽に金色に輝く姿も美しい… エノコログサ

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もう、萩の花が咲いている…秋の七草だけれど、初夏なのにもう咲き出している。
他にも、桔梗や女郎花、葛…夏のうちから咲く花も多い
萩の葉にこぼれるように朝露を置く…白露とは、秋の季語だ。

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いつもの街の石畳も雨に濡れている。

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古い町屋に、咲き残ったバラの花一輪…

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馴染みのお店も雨が似合っている。

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いつものお店で、今日は、鈴木正治展を開催しているとの事なので寄ってみた。
入り口に飾られた白い髭を蓄えた老人の写真がある。

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柔らかな眼差し、穏やかな面立ち、この人こそ、青森の彫刻家、鈴木正治氏だった。
この写真が作品の全てを物語っているような気がした。

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鈴木氏は、郷土を深く愛し、青森の山深い森の中で製作を続けたそうだ。
そして、彼の作品のほとんどが、青森のギャラリーで飾られている。
一本の木から削りだして作られた作品は、自然体で素朴で、木の温もりと、木の生命力とを残しているような気がした。

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夏への扉は、木の床、テーブルも椅子も、素朴で重厚な自然木が生かされている素敵
な店内だ。それが、作品と上手く融合して、ギャラリーにありながら、まるで森の中
にいるような不思議な感覚にとらわれた。

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木の作品ばかりではなく、石を彫刻したものもあったが、こちらもナチュラルだ。
もし、森の中に、これらの彫刻が置かれているとしたら、きっと、何の違和感も無く、素敵にハーモニーを奏で始めるような気がした。

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また、夏への扉の奥様が惚れ込んだという、富士山の絵。シルクスクリーンというらしい。

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墨の濃淡を生かし、シンプルでダイナミックに描かれている。
わたしには、専門的なことは判らないのだが、墨絵というと、細かく生き生きと描写される墨の部分と、残された余白の部分に、あらゆる光と色を載せているような気がする。

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氏の墨絵は、少し印象が違って、物の形をシンプルにして抽象画のようなイメージだ。
それは、たぶん、彫刻のフォルムに通じているような気がした。
そのなかで、わたしは、この、星空と題された絵が気に入った。

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開け放たれた窓枠には、蔦が美しい緑の葉を広げ、雨の匂いを含んだ涼やかな風が流れ込んできた。

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時折り、通り過ぎてゆく電車の音が心地良く響き、
コーヒーの香りと、雨の匂いとが、ジャズの音色に絡み合い、今日も夏への扉には上質の時間が流れていた。

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今日は、マスターはお留守のようだったが、作者のことを語る奥様の、純粋な眼差し
が心に残った。

もう少し時間があるから、街中を抜けて、まだ通ったことの無い道を辿ってみる。
急に木立ちが生い茂り、細い坂道が迷路のように続いている。
わたしは、臨川庭園という場所を探していた。たぶん、この道でいいと思うんだけれど…

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やがて、こんもりした森を抜けたら、多摩川に出てしまった。
少し緩やかに蛇行した川は、どちらの川岸にも森が繁り、広い川原と空が続いていた。
不思議とこの一角だけ忘れ去られたかのように、とても静かな空間を作っていた。

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河原には、レモン色の月見草と。薄紫の花が咲いていた。

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太宰治は “富士には月見草がよく似合う”と詠んだが、
月見草は、川原が似合う花だと、わたしはいつも思ってしまう。

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夕暮れの川原に、透き通るように綺麗な月見草が開き始めると、柔らかな郷愁に似た感傷が胸の中に広がるのだ。
子供の頃、父に手を引かれて歩いた、入間川の川原を思い出してしまうからかも知れない。
弟と母も一緒に歩いていた。カジカ蛙の声、夕暮れの川面に夕月の影、川原の仄暗がりに、白々と咲き続いていた月見草の花灯り。
それは、いつも、わたしの心にある夏の原風景の一つなのだった。

雨の滴を溜めた月見草の花には、蛍が雨宿り…なんて似合うだろうけれど、今日の雨
宿りはカメムシだった(^_^)

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道を間違えてしまったらしい…わたしは、少し川原を歩いてから、来た道を戻った。
しばらく、坂道を登りなおし、細い路地を曲がってみたら、しっとりと落ち着いた日
本家屋が現れた、玄関には、真っ黒な猫が置物のようにじっと座っている。
あら!黒猫のジジだ!思わずつぶやいてカメラを向けた。
ジジくんは、相変わらず、じーっとしたまま、カメラに収まってくれた。

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ふと、そのお宅の表札を見てびっくり…なんと、“津雲”と書かれていた。
臨川庭園は、津雲氏が別邸に作った庭園なのだった。

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と言うことは、この先にあるはずと辺りを見回したら、木々の茂みの中に古めかしい門が現れた。
そこには、臨川庭園の文字があった。
今日は時間が遅いからもう閉まってしまっていたけれど、場所が判って嬉しかった。
今度は、晴れた日に再訪したいと心に誓い、わたしは帰路に着くことにした。
帰り道、緑に埋もれた空間が目に留まった。

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草が生い茂り、忘れ去られたように狛犬が置かれていた。
小さな鳥居と、その奥に祠がある。
なんとなく、千と千尋の神隠しに出てきたような場面が頭に浮かんだ。
奇妙な石仏の佇む森の奥のトンネルを越えたら不思議な世界に入ってしまうあの場面
だ。

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何だか、子どものように、少し怖くなって、わたしは帰り道を急ぎながら考えた。
やっぱり、青梅は面白い街だ…!今度、訪れた時、あの神社は消えているんじゃない
かなぁ…
そんな空想を膨らませながら、雨の午後の散策を終えたのだった。

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