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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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旅立ちの丘 

旅立ちの丘(秘話)

武甲山と秩父の街並みを見下ろせる小高い丘の片隅に旅立ちの丘がある。
この旅立ちの丘には、小さな展望台と“旅立ちの日に”という歌詞が刻まれたモニュメントがある。

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旅立ちの日に

白い光の中に 山並みは萌えて
はるかな空の果てまでも 君は飛び立つ
限りなく青い空に 心ふるわせ
自由をかける鳥よ 振り返ることもせず

勇気を翼に込めて 希望の風に乗り
この広い大空に 夢を託して

今 別れの時 飛び立とう 未来信じて
はずむ 若い力 信じて
この広い この広い 大空に

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この歌詞を読めば、きっと「ああ、あの歌だね!」とお分かりの方も多いと思う。
全国の中学校で合唱コンクールや卒業式で、合唱曲として必ずと言っていいほど歌い継がれてきたお馴染みのこの名曲“旅立ちの日に”という歌は、秩父で生まれた歌なのだそうだ。

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1991年に埼玉県秩父市立影森中学校の校長と教員が、教え子たちの卒業の門出に世界でたった一つの歌を贈りたいと作ったのが、この“旅立ちの日に”だった。
それが、いつの間にか全国で歌われるようになったそうだ。

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わたしも3人の子どもたちの中学校で、合唱コンクールの課題曲として毎年歌い継がれていたこの曲を聴いたことがあった。
その歌詞や曲の美しさ、そして一生懸命歌う子どもたちのハーモニーとがあいまって、聴く者の胸を打つ素晴らしい曲だと思った。

じつは、この名曲には、もう一つの隠れたエピソードがあることを知ったのは、ある小さな新聞の記事だった。

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Aさんは、30代の娘さんを突然の病気で亡くした。
とても元気で活動的だった娘さんの死をAさんは、どうしても受け入れられなかった。
『あんなに元気だった娘が、親のわたしより先に逝くはずがない。』Aさんは悲嘆に暮れ、誰の慰めにも耳を貸さなかった。

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悲しみに心を閉ざし、誰にも会わず、部屋に閉じこもる毎日が半年も続いた。
そんなある日、Aさんは、当てもなく電車に乗り気づいたら終着駅の西武秩父の駅に降りていた。
その足で、アパートを借り、そのままこの街に住むことになる。
場所を変えても悲しみは、心の中に重く抱えていて家の中にいるとまた、押しつぶされそうになる。
それからのAさんは、朝早くお弁当を持って家を出て、暗くなるまで歩き回った。

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歩いている時には悲しみが、少しだけ忘れていられるのを感じた。こうして一日歩き回り疲れ果てて家に戻り眠りにつく。今まで家に篭っていた分を取り返すかのように、がむしゃらに毎日、歩き続けたAさんは、ある日の夕方、武甲山と秩父の街並みを見下ろせる小高い丘にひとりで立っていた。

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ちょうど夕照の時間を向かえ、あたりは穏やかな夕映えに包まれていた。
Aさんは、暮れ行く景色を眺めようと、丘の片隅に作られた展望台への階段を上り、丘の上に張り出すように設けられたステージへと続く回廊をゆっくりと歩き始めた。
その時、何処からともなく、美しいメロディが流れ始め、美しい歌声に包まれた。
柔らかなオレンジ色の光に包まれながら、Aさんは、涙が止まらなくなった。
この時、展望台には誰もいなくて、モニュメントから流れる歌声は、まるで亡き娘からのメッセージのような気がした。

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♪~白い光の中に 山並みは萌えて
  はるかな空の果てまでも 君は飛び立つ
  限りなく青い空に 心ふるわせ
  自由をかける鳥よ 振り返ることもせず…~♪

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影森中学校の生徒たちの歌声を聞きながら、Aさんは、夕映えの中で静かに暮れてゆこうとする美しい景色を眺めていた。
「お母さん、わたしは、しあわせだったのよ。そして、わたしはいつもお母さんのそばにいるわ。だから、もう悲しまないで勇気を持って生きてください。」

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Aさんは、懐かしい娘の声を聞きながら、いつまでも涙に暮れたそうだ。
そして、その日からAさんは、生まれ変われたような気がした。
生き生きと、自分の人生を生きられるように思えた。
自分を変えてくれた旅立ちの丘へのお礼の気持ちで、毎、日曜日、その公園で行われるボランティアの早朝清掃にも参加した。

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ある日、早朝清掃で知り合った女性に、何となくこの話をしたところ、その人は「旅立ちの日に」を作曲した女性の母親だった。
そんな不思議な巡り会わせで、Aさんは、この地で新しい友達を得て毎日を元気に暮らしているという。

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このお話を読んで、奇跡のような出逢いに感動した。そして音楽は、人の心を救うのだなと思った。
わたしは、この記事を読んでから、いつか希望の丘に行ってみたいと思うようになった。

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何の前触れもなく、この場所に立ち、このシチュエーションに包まれたAさんの感動はいかばかりだったかと思うと、新聞を読みながら、わたしも溢れる涙を止めることが出来なかった。

風光明媚な深い山並みに囲まれた秩父の街とそこに暮らす人々の優しさを思ったのだった。
父に連れられ子どもの頃から親しんでいた秩父、数年前から、長いブランクを開けて再び訪れるようになった。
そして、素朴な温もりと、長閑な優しさがある秩父が好きだったことをあらためて感じたのだった。

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(写真は、以前撮った、秩父の初夏の風景です。)
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category: 森・山

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コメント

知人のお父様がお亡くなりになり、今お通夜に行くため電車に乗っているところです。
なぜか涙がこぼれてきます。この歌を、そういうふうに聞く人もいるとは、思いもしませんでした。
帰ったらパソコンで写真も含めて、ゆっくり見させていただきます。

youic@ケータイ #- | URL | 2010/05/15 15:53 - edit

No title

勇気が湧いてきます。
いつも素敵な記事をありがとうございます♪

かぜくさ #3fIBvpkA | URL | 2010/05/15 23:24 - edit

youicさんへ

youicさん、こんばんは。
お約束していた“旅立ちの日に”の秘話をやっとアップしました。youicさんの大切な曲でもありますよね。
この曲は、本来、巣立っていく子どもたちへのはなむけの歌…でも、聞く人によってはさまざまな意味を持つんですね。youicさんがおっしゃるように、わたしもそう思いました。
音楽が持つ力って、素晴らしいですね。
youicさんもきっと、旅立ちの丘を訪ねてみたくなったでしょ?
秩父ミューズパークという丘の上の公園の西側の片隅にあるようですよ(^^)v
わたしも今年は、訪ねてみたいです。

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2010/05/16 00:12 - edit

かぜくささんへ

かぜくささん、こんばんは(^^)
いつも見てくださっているのですね!
かぜくささんに見守っていただいていると思うと、わたしこそ、勇気がわきます。ありがとうございます。
上手く言えませんが、曲を作れる人って素晴らしいですね。その曲が、いつか誰かの心を癒し、温め、生きてゆく勇気までも与えてくれるのですもの…

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2010/05/16 00:18 - edit

No title

sizukuさん、こんばんは。
心に沁みるお話をありがとうございます。
あぁ、この合唱をまた生で聴きたい、そんな想いが込み上げてきます。
きっといままで以上に涙があふれそうです。
それとsizukuさんの言うとおり、旅立ちの丘に立ってみたい~。
ムツおばあちゃんの家とセットで行こうかなぁ。

youic #- | URL | 2010/05/16 23:23 - edit

情緒ある丘

sizukuさん、こんばんは♪
私は恥ずかしながら最近になって「旅立ちの丘」に立ってみました。
音楽が流れるのを知らなかったので、どこからか流れる曲にしみじみと感じ入りました。

Aさんの素敵なお話は、我が地元の秩父をあらためて見直しました。
秩父は山と緑と深い情緒に包まれて生きています。(^^)/

クロちゃん #QfAHIh9c | URL | 2010/05/17 18:57 - edit

youicさんへ

youicさん、あらためてコメントをありがとうございます。
そうですよね。わたしも、もう一度子どもたちが歌う“旅立ちの日に”を聴いてみたいです。youicさんのように卒業式か合唱コンクールに紛れ込めばいいのですよね(笑)
ぜひ、むつばあさんの帰り道か行きがけに旅立ちの丘に寄って見てください。
感動の涙を流せる人は幸せだと思います。
悲しみの涙や悔し涙と違って、心の奥から湧き上がってくる清らかな涙だと思います。
youicさんは、純粋で心が優しい人なんですね。(*^_^*)

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2010/05/17 23:28 - edit

クロちゃんへ

クロちゃん、こんばんは(*^_^*)
秩父はおおらかで素晴らしい自然と、温かな人情がある素晴らしいところですよね。
わたしの今のフィールドの奥多摩も大好きですが、やはりふるさとと呼べる懐かしさを感じるのは、わたしが生まれ育った風土だからでしょうか。
秩父に行くと、ああいいなぁ…と癒される気がします。
旅立ちの丘に立つなら、夕方にと思っていましたが、以前、keykunさんのページとshinさんのページで旅立ちの丘からの雲海に浮かぶ大きなアーチの橋の写真を見せていただいた事があります。もしかしたらクロちゃんのページにもアップされていたのかも知れませんね。
あの写真を拝見した時、朝の旅立ちの丘の風景にも出会ってみたいと思いました。

秩父、良い町ですね。わたしにとって武甲山も思い出深い山なんです。いつか武甲山にも登ってみたいです。

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2010/05/17 23:46 - edit

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