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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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恕の心 蔵王権現堂の夜 

今日もカッコウの声を聞きました。どうも飛びながら鳴いているらしく、鳴き声はだんだん近づいてきました。
そして、すぐ家のそばを通っていったのか、とてもはっきりと聞こえ、だんだん小さく遠ざかって行きました。

わたしはじっと耳をそばだたせ、窓を開けることもなく聴いていたのでした。
先々週末にひいた風邪が引き金になって、久々に喘息の発作をおこし、先週はちょっと辛い日々でした。
一昨日病院で新しい薬を処方してもらい、やっとひどい咳から解放されました。
喘息は出ていたものの娘の所にも一日おきに手伝いに行ったりしていたので長引いたのかも知れません。
母親って、自分の体よりも優先するものがあるものですね。わたしも、自分の母親にしてもらった事をずっと思い出していました。

今日は、娘の所へもお休みですし、朝からの良いお天気に、どこかに行きたい気分です。
でも、まだ、自分で出かける気力はありません。元気なら空色号で、その先の風景を見に行きたいのですが…
自転車を漕ぐ肺活量が、まだ回復していません。もちろん山登りの肺活量もまだありません。

山登りは出来ないけれど山に行きたい。ドライブで、わたしを山の上まで連れて行ってくれないかなぁ…
綺麗な空気を胸いっぱい吸ったら、ポンコツのわたしの肺もいくらか復活しそうな気がするんですけれどね。
家人は、それぞれ出かけてしまっているので、やっぱり、続きの奈良の旅でも綴りましょう。
長い紀行文や、写真の羅列で申し訳ありませんが、もうしばらくお付き合いくださると嬉しいです




最近はホテルを利用することが多かったので、お部屋でのお食事は久しぶりです。
気さくな仲居さんが、次々と運んで来てくれるお料理に舌鼓を打ちながら娘と水入らずでくつろげます。

まずは、食前酒で乾杯!
「えーと、最後かも知れない、母娘旅に乾杯!!アイリス婚約おめでとう!!」
『ありがとう。おかあさんとのふたたびの奈良に乾杯!!また来れますように!!』

超豪華という訳ではありませんが、吉野で取れたものを使った懐石料理は彩りも美しく、体にやさしい感じ。
アユの塩焼きも、茗荷寿司も美味しかったです。

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黒蜜仕立ての葛きりとか、はじめて味わう食材でした。関東人って、あまり葛きりをいただく機会がないのです。

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吉野葛を使ったミニ鍋。とってもまろやかな味わいにほっとします。

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ゆっくり、時間をかけていただいているうちにちょうど良い時間になりました。
それでは、今回最大のイベント、蔵王権現堂の夜間参拝に向かうことにします。
フロントで、チケットを受け取り外へ出ます。この宿から向かうのはわたしたちだけのようです。

昼間の不安を宿の女将さんに伺ったところ、今日は80名ほどの参加者がいることが判って、アイリスもわたしも安心したのですが、道連れが誰もいない事にまた、ちょっと不安が過ります。

夜の宝の家さん。

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夜の帳が降りた静かな参道を歩いて行きます。

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宝の家さんから、蔵王権現堂までは10分ぐらいの道のりでしょうか。
街燈はあるものの、真っ暗な夜道に、人っ子一人いません。

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昼間、参拝した吉水神社への参道です。しーん…という音が聞こえてきそうです^_^;

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吉野葛のお店

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こちらは、甘味処

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狐のオブジェに灯りが点り、星屑みたいで可愛くて、二人で感嘆の声をあげます。


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それにしても、人の声どころか、テレビの音さえ聞こえなくて、ちょっと不気味です。
『おかあさん、住んでいる人が、狐と狸ってことないよね?』いつの間にか、わたしと並んで歩きながら、アイリスが周りを眺めて言いました。

「この階段の先なんて、絶対無理…」アイリスが、呟きます。

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でも、空を見上げれば、無数の星が瞬いています。わたしにとっては、いい夜のお散歩でした。
そして、権現堂への階段を上ると、ライトアップされた大伽藍が見えてきました。

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最初は、早すぎたようで誰もいませんでしたが、10分もすると夜間参拝する人々が集まってきました。

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そして、旅館組合の方や、山伏の装束の僧侶たちが30人ほど集まりました。
いろいろ説明をしてくださる若い僧侶は、物腰も優しく、説明も分かりやすく好感が持てました。

やがて、松明が灯され、いよいよ、夜間特別参拝の幕が開きました。
先頭を進む山伏たちは、ほら貝を吹きながら厳かに進みます。
この、ほら貝の音色が凄いです。わたしは、ほら貝と言えば、低音で『ブォ~!!』という音色だと思っていました。

ところが、その音域は深く、1オクターブ以上ありそうです。むせび泣くような高音の音色は、2オクターブぐらい出ている感じです。

これは実際に聴いてみないと判らないと思うのですが、目からうろこの音色でした。

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閉まっている扉の一つが、ギィーっと鈍い音を立てて開扉され、僧侶を先頭に、山伏、参拝客と続いて暗い堂内へと入って行きます。

堂内は太い柱ごとに、蝋燭の灯明が燈され、ゆらゆらと揺れる火種が、うずくまる夜気を揺すり起こしているように見えます。
そして、暗闇を突き破るような、ほら貝の音色は、わたしたちの心をいやがおうにも高ぶらせていきます。
やがて、目が暗闇に馴れてくると奥の暗がりの護摩壇の奥に、大きな大きな塊があることに気が付きました。
うーん、これが、蔵王権現立像なのか…得体のしれないそのシチュエーションに、心臓がドキンとして何だか身震いしそうになりました。

先ほどの若い僧侶の澄んだ声が響いてきて、わたしたちは、護摩壇の中に座るように促されました。
そして、みんなが座り終わると、蝋燭の灯明の中に、うっすらと輪郭だけが見えていた蔵王権現の姿が浮かび上がりました。
太鼓が打ち鳴らされ、先ほどの山伏たちのほら貝が、ある時は物悲しく、ある時は戦いの狼煙のように力強く、ある時は吹きすさぶ風の声音のように、響き渡り堂内の空気を震撼とさせ、我が身に響き渡りました。
そして、20名ほどの僧侶がいっせいにお経を唱え始めました。その声は大変美しく、わたしは、完全にお経と言う概念を払拭された気持ちになりました。
上手く言い表せませんが、美しい男性コーラスを聞いているかのようなのです。西洋の讃美歌に匹敵するくらい美しくてお経って音楽なんだと感じました。


そして、どのタイミングだったか忘れたのですが、いままでおぼろげな輪郭でしか見えていなかった、蔵王権現像に徐々に光が当たって、暗闇の中にライトアップされた姿が青々と浮かび上がったのでした。
人々は、目の前に繰り広げられた光景に「おお~!!」と低く唸り声をあげたのでした。
もう、その演出たるや、素晴らしいものだと感じました。それでいて、華美に走らず、内面から滲み出るような素朴なものでした。
ただの観光とは、一味も二味も違うものを感じて感動したのでした。


そして、僧侶のお話が素晴らしかったです。
パンフレットから

蔵王堂に安置されている蔵王権現さまを人々が拝する時、その巨大さとすさまじさに最初は驚きます。
が、やがて心が落着いてきて、やさしく包まれている感じがすると感想を述べられている方が多数おられます。

蔵王権現さまは、見るからに恐ろしい姿をされていますが、ただ怒りに燃えているのではなく、その根底には
「恕」(じょ)の心があります。一切を恕し(ゆるし)育み人々を導こうという慈悲のこころです。

「恕」とは、ゆるすと読みます。ゆるすには「許」と言う字もありますが、許とは、聞き届ける、相手の言うことを聞いてやると言う意味ですが、「恕」には、相手をゆるす、おもいやる、いつくしむ、あわれむなどの意があります。

わたしたちは日常の暮らしの中で恕す心が大きくなるよう心をおさめていきたいものです。
そういう心を蔵王権現さまを拝むことで感じていただければと思います。


なるほど、本当に素晴らしい教えだなぁと、こころに響きました。
また、こんなこともおっしゃいました。

この蔵王堂で毎日お勤めしている僧侶でさえ、蔵王権現様にお会いできるのは、一年に一度の御開帳の時だけなのだそうです。
蔵王権現さまは普段は、どん帳(布の覆い)に覆われていて、拝することはできませんが、今宵、縁を結ばれたみなさまは、きっとこのお姿が瞼の奥に焼き付いておられると思います。
次回、訪れていただいた時、そっと目を閉じて手を合わせれば、きっと今夜のお姿を思い浮かべることが出来ると思います。それが仏様と縁(えにし)を結ぶと言うことなのです。

なんだか感動して、涙が零れそうになりました。
お坊さんって、本当に素晴らしい事をおっしゃいますね。

お坊さんのお説教の後、ぐるりと堂内を巡り、蔵王権現さまのお姿や、四天王像など、手も触れんばかりのそばで拝観することが出来ました。
ちょうど、1時間あまり、得難い経験をさせていただきました。そして、吉野に来て良かったと心からそう思いました。
奈良は、日本人の心のふるさと…そんな気がします。深い信仰心はないのですが、もし、何かに躓いたり、悩んだり、とても辛いことがあったなら、ここに戻って来たいと漠然と思いました。
帰り道、そんなことを想いつつ、月を見上げました。

    月朧 吉野の山の 秘仏かな

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お堂を出る時、アイリスぐらいの年齢の若い僧侶がパンフレットを手渡しながら、
『明日の朝、6時からの朝のお勤めもご覧になれますので、よろしければ、ご参拝ください。』と案内してくれました。
夜の参拝だけでも十分に満足だったのに、早朝の蔵王権現さまにも逢えるなんて、何てスペシャルなんでしょう。


『お坊さんの話を聞いていてレミオロメンの、歌を思い出していたんだ…』アリスがぽつんと言いました。
「レミオロメン?」『うん、瞳を閉じれば、いつも瞼の裏にいるってところで。』そう言ってアイリスは笑いました。
「なるほどね…(*^_^*)」やっぱり、アイリスの感性はピュアだなぁと思いました。

『おかあさん、とっても素晴らしかったね。夜間拝観を予約してくれてありがとう。今夜の事は一生忘れないと思うわ。』
「うん、お母さんもそう思ってた。また、いつか来れたらいいね。」

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3月9日    レミオロメン

流れる季節の真ん中で
ふと日の長さを感じます
せわしく過ぎる日々の中に
わたしとあなたで夢を描く

3月の風に想いをのせて
桜のつぼみは春へとつづきます

溢れだす光の粒が
少しづつ朝を温めます
大きなあくびをした後に
少し照れてるあなたの横で

新たな世界の入り口に立ち
気づいたことは一人じゃないってこと

瞳を閉じればあなたが
まぶたのうらにいることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとってわたしもそうでありたい

砂ぼこり運ぶつむじ風
洗濯物に絡まりますが
昼前の空の白い月は
なんだかきれいで見とれました

上手くはいかぬこともあるけれど
天を仰げばそれさえ小さくて

青い空は凛と澄んで
羊雲は静かに揺れる
花咲くを待つ喜びを
分かち合えるのであればそれは幸せ

この先も隣でそっと微笑んで

瞳を閉じればあなたが
まぶたのうらにいることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとってわたしもそうでありたい


レミオロメンのこの歌、あらためて聴いてみたらいい歌でした。
きっと、アイリスの今の心境だなぁと思いました…(*^_^*)


蔵王権現像、こちらからどうぞ。

金峯山寺 蔵王権現堂
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コメント

No title

しいちやん、ここが吉野の特別拝観のおてらですね。
素敵。とっても素敵、私も次は行きたい奈良です。
しっかり覚えておきます。
とても美しい奈良を見せていただきありがとう!

咳は一度ではじめるとなかなか治まらないね。
無理しないで、早く治してね。
お大事に。

はるか #T2PFTBgw | URL | 2013/05/26 22:26 - edit

はるかちゃんへ

はるかちゃん、こんばんは(^^)
コメントどうもありがとう。吉野は、本当に素敵なところでした。
特別拝観も、大変中身が濃くって、大満足でした。
南円堂北円堂の仏像もそうですが、芸術品としても素晴らしく価値があると思いました。

蔵王権現さま、夜の拝観は大迫力。あの、青い体の色は特別美しい物でした。
はるかちゃんもぜひ、次回は訪れてみてください。
毎年、桜が終る頃、特別開帳が行われるみたいです。

咳はだいぶ良くなりました。ご心配おかけしてごめんね<m(__)m>

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2013/05/27 21:21 - edit

素晴らしいです。

しーちゃん 蔵王堂の夜間拝観があるのは知らなかったです。
しーちゃんの文章から感じが凄く伝わってきました。
しーちゃんの文章力にも感心しました。
こちらも凄いです。
私も機会があれば、ぜひ夜の拝観行ってみたいです。
毎年桜の開花後にあるわけですか。
今年は6月7日までのようですから次回にぜひ(^_^)


お千賀さん #JalddpaA | URL | 2013/05/29 12:13 - edit

ちかちゃんへ

蔵王権現堂の夜間拝観は、圧巻でした。
観光客用のイベントだろうと思っていたのですが、確かに、桜の後の客寄せの意図もあるにはあるのですが、
それを遥かに上回る厳かで、精神性の高い純粋なものでした。
わたしは、自分の言葉が足りなくて、上手く表現できないのが歯がゆいです。
そんなところを汲んで読んでくださってありがとう(*^_^*)
ぜひ、ちかちゃんも吉野にお泊りして、あの夜間拝観を見てみてください。きっと百聞は一見にしかずだと思います。

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2013/05/31 00:10 - edit

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