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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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水無月の森 

一昨年の三月初め、日原の山友に案内していただいた奥倉沢。
その時、訪れた森の奥に美しい滝がありました。
落差何十メートルなんていう、豪快な滝ではなくて、
美しい釜を持ち、緩やかに流れ落ちる滑滝で、小さな滝なのですが
雪に埋もれた森の中に、青く澄んだ滝の姿は美しく、心に焼きつきました。

もう一度、あの滝を訪ねたいと願いつつ、月日が経ってしまいました。
この森に生きるカツラやブナや、ツガの巨樹にも、また、逢ってみたい。
そんな想いが叶う日が来ました。

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倉沢谷の林道を辿り、行き止まりになった辺りから森へと入ります。
奥倉沢という地名は無くて、山友が名前を付けた森です。

しばらく森を上りあげ、渓谷沿いに辿る道には、ただ、風のみが
通うような静かな美しい水源林が広がっています。
いくつもの巨樹をその森の中に育み、美しい渓流が巡る豊かな森です。

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冬には大きな氷柱が何本もできて、神秘的な光を湛えた氷の宮殿と
なっていた斜面には、岩清水が後から後から流れ落ち水花火を散らします。

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木漏れ日が差し込む渓谷には、いくつもの小滝が連なっています。
ミソサザイは、高らかに囀り、渓流の瀬音に歌っているように聞こえます。

足元には、真っ白なギンリョウソウの赤ちゃんが、枯葉の中から
目を覚ましていました。葉緑素を持たないこの植物は、ユウレイタケとの
別名もありますが、生れたばかりのその姿は、透き通るように純白で、
わたしはいつも仔馬のようだと思っています。

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青い瞳のような花芯も綺麗…

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この時期、いくつも目にするのはオトシブミの作った命のゆりかご
木の葉を上手に切り取って、その中に卵を産み付け、くるくるっと
巻いて落とします。まるで、手紙を書いた巻物のようなその形から
オトシブミと呼ばれるようになったそうです。
どうして、こんなにきっちりと上手に木の葉を巻く事が出来るのか。
なんとも不思議ですよね。

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ふと、草陰に小さな薄緑色の片翅を見つけました。
たぶん、オオミズアオという美しい蛾の翅ではと思います。
小さいから、まだ、生まれたてだったのかも知れません。
鳥に食べられて命を散らしてしまったのでしょうか?

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奥多摩や奥秩父の山を歩いていると、切れ落ちた山道に架かる、
こんな木橋に時々出会います。なぜかわたしは、この景観が
とても好きです。ちょうど山つつじが美しく咲き誇っていました。

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緑が滴るような、45度ほどの急斜面を這いあがるように
よじ登ってカツラの巨樹に逢いに行きました。
こんな急斜面にも巨樹は逞しい根を張り、まっすぐに天に
幹を伸ばしています。その力強くて美しい姿に、もう一度逢えて
わたしは、とても幸せでした。

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その根元に寄りかかり、しばらくは梢を渡る風の音を聞いていました。
こうしていると、とっても心が安らぐのです。

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渓流沿いには、サワグルミなどの渓畔林が美しく立ち並び、
その木立を縫うように、青い渓流が巡っています。
少し高いところを歩きながら、俯瞰していると6月の緑あふれる
森の美しさに、心が洗われるようです。

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なだらかになった落葉樹林の林床でお弁当を食べていると、
シジュウカラたちが、何羽もやってきて、枝から枝へと渡っていきます。
きっと、近くで子育てをしているのでしょう。くちばしに何か加えています。

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幻の滝がなかなか見つからなくて、渓谷に降りて探します。
倒木や、古びた巨木が緑の苔に覆われて美しく息づいている。
岸辺を埋めるヒメレンゲは、いくつもの小さな星形の花。
森に降った流れ星が、そのまま花になったのじゃないかと、
わたしは、この花を見るといつもそう思う。

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木漏れ日が差せば、森は緑のステンドグラス。
結葉のグラデーションが、やさしく柔らかい光を投げかけて
森の中にいるのに、海の底にいるようなそんな錯覚に落ちるほど
緑の光の海が谷と空との空間を満たします。

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何度か浅瀬を渡りかえして進めば、あ、あれは…
きらきらと白く輝く滑滝が大岩の向こうに見え隠れしています。
こうして、逢いたかった想い出の滝に巡り合うことができました。

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柔らかないく筋もの流れが白糸のように美しく、心洗われる気がします。
渓畔の岩や樹を覆う緑の苔が例えようもないくらい瑞々しいのは。
やはり水無月の森だからでしょうか?
いつまでも、森の緑に溶け込んで見つめていたいけれど、
そろそろこの森を抜けて林道に降りて行かなければなりません。

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朝の青空は消えて、どんよりとした曇り空、今にも雨が降ってきそうです。
途中、森の奥深く、ひっそりと佇んでいるブナとツガの巨樹の姿を
ほんの少しだけ垣間見れました。
「また、今度訪ねてきますから、待っていてください。」と
巨樹たちに告げ、切り立った崖に囲まれたV字になった渓谷と別れました。

kurasawa_552.jpg


水と緑が織りなす、しっとりと神秘的な水無月の森をデジブックに
しましたので、よろしかったら、下記画像をクリックしてご覧ください。



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category: 森・山

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コメント

sizukuさん

デジブックも拝見しましたよ。
久しぶりの奥倉沢を堪能できたようですね。

ところで、上から12枚目の写真にちょっと驚きました。
というのも、4月30日に撮影したものとほとんど同じアングルだったから。
でも、あそこの景観には足が止まりますよね。
そして新緑の頃は、さらに息をのむ美しさですよ。

ちなみに、シオジクボのカツラはオスと判明しました。
うまくタイミングが合えば、対岸から満開の姿を見られますね。

One Leaf #itniz352 | URL | 2012/06/10 23:21 - edit

とても深い谷ですね。

しいちゃんは一度行くと、しっかり道を覚えてしまう、
不思議な力の持ち主。GPSも地図も要らない。

動物的な感と言うのかな。

オトシブミ、なんて風変わりな虫だこと。

カツラいつか見に連れて行ってください。

はるか #- | URL | 2012/06/11 00:56 - edit

いいですね。
渓畔林を観察しながら、お弁当とカメラを持って
こんな森を歩いてみたいです。
たとえば晩夏の頃って、どんな花々が咲くのでし
ょうか。

Cresent #- | URL | 2012/06/11 11:33 - edit

One Leafさん、コメントありがとうございます。
デジブックもご覧いただき嬉しいです(*^_^*)
One Leafさんに教えていただいた奥倉沢、
ずっとあの渓谷沿いの道を歩きたいと思っていましたが
ようやくチャンスが訪れました。
本当はスミレやハナネコノメの頃に行きたっかのですが…

12枚目の写真(*^_^*)v
あの景観は素晴らしいですね。カメラを向けた時、One Leafさんも、きっと撮るだろうなと、
ふと、思いました。不思議ですね。

新緑の柔らかな緑のそよぎ、考えただけでもうっとりします。
来年は、あのカツラの花の頃に、ぜひ行きたいです。

sizuku #- | URL | 2012/06/11 21:39 - edit

はるかちゃん、いつも見てくださってコメントもありがとう。
いえいえ、そんなことは無いのよ^_^;
覚えているつもりが、初めて見るような植林帯があったりして、
「あれ?こんなだったっけ?」と思うことも、しばしばあります。

今回も、滝までの道が見つからず、戻って違う斜面を降りてみたりしました。^_^;
結局、少し川を遡行してたどり着きました。
でも、それが良かったみたいです。
川を渡る場所の目印に気が付くことが出来ました。

わたしの森の師匠は、森の中に、自分だけの目印(樹)をできるだけ
たくさん持っていることが必要だと教えてくれました。
道に迷いそうになった時、それらの樹が灯台となって導いてくれるそうです。

師匠は、森の人という言葉がぴったりの人だけれど、わたしは、まだまだ、未熟です。
ひとりで森に入る時は、五感を研ぎ澄ましています。
より多くのものが見えるように…そして、道に迷わないように…

この谷は素晴らしい谷です。もう、道は覚えたから今度、はるかちゃんを案内します。
夏の渓もいいよ。素足になって水遊びしよう。
渓流沿いにはニンフのようなしなやかな木々がいっぱいいます。

sizuku #- | URL | 2012/06/11 21:55 - edit

Cresentさん、コメントありがとうございます。
デジブックもご覧いただき嬉しいです(*^_^*)
この倉沢谷には、かつて集落があり、倉沢鍾乳洞もありました。
今は、廃村となり鍾乳洞も閉鎖され、道も風化しています。
でも、その鍾乳洞の景観は素晴らしい岩峰でロマンを感じます。

渓谷は森の中を縦横無尽に巡っているという感じ、
本当に豊かな森なんです。
初夏の花のイワタバコはいたるところに葉を見つけましたが、
晩夏の花は何が咲くでしょうか?
晩夏には、訪れたことがありませんが、探しに行ってみたいです。

sizuku #- | URL | 2012/06/11 22:07 - edit

水無月の森

こんばんは、モナスマです。

5月でもなく7月でもない、水無月の森。
息を呑むような瑞々しい美しさに涙がこぼれそう。
デジブックを2度3度、見返してしまいました。

トップページから美しい緑の木立。
 
岩清水が岩に弾ける様。森は結葉の季節の繊細さ。キンランの蕾もレンプクソウも星を宿したヒメレンゲ、そしてギンリョウソウどれも可愛い。初めて見る花ばかり。
終盤の10枚は本当に素晴らしいです。水無月の森の緑の輝きとカツラの巨樹の美しさ、根の逞しさが胸に迫ります。

ああ、良いなぁ~~この森と渓。ありがとうございました。

モナリザ スマイル #- | URL | 2012/06/12 01:24 - edit

お姉ちゃま、おはようございます^^

ワクワクするような森深い場所ですね~~
生まれたてのギンリョウソウは透けるように真っ白、無垢な美しさを感じます♪

前記事のイワウチワの絵手紙、とても素敵♪
あんなお手紙をいただいたら感激してしまいますね。

はるかさん同様、いつか皆でカツラの樹にご挨拶ができるのを楽しみにしています^^

よしころん #- | URL | 2012/06/12 09:32 - edit

庭も緑があふれているけど、森も命溢れる季節ですね
一度だけギンリョウソウ見たことあります
こんなに白い植物があるのかと感動しました

山つつじの赤が緑の森の中で鮮やかですね
燃えてるみたい

イクさんの絵手紙もステキです
まだ子育て中ということもあり、なかなか女子会に参加がかないませんが
私も皆さんに会えたことで世界が広がりました
これからもよろしくお願いしま~す

なみちゃん #- | URL | 2012/06/13 00:00 - edit

モナスマさん、この森、いいでしょう?
一般的な登山道ではないので、ほとんど人が入りません。
だから、まるで深山のような趣があります。
ほんの30分も登っただけで、こんなカツラの巨樹にも逢えてしまいます。
奥多摩の日原には、こんな聖地がたくさんあります。

そうそう、ハナネコノメもたくさん咲くんですよ(*^_^*)
いつか、ご案内しましょうね。
あのカツラの根元に立てば、みなさんきっと、抱きつきたくなりますよ。
わたしも、いつもそうしています(^o^)/

デジブック、何度も見てくださってありがとうございます。

sizuku #- | URL | 2012/06/14 21:17 - edit

よしこちゃん、こんばんは(^o^)/
コメント、ありがとう。お返事が遅くなってごめんね。

いいでしょう?この森…わたしは、冬の面影が残る早春の頃に初めて行きました。
残雪をザクザク踏んで、そんな季節もまた素敵よ。

そして、緑が濃くなった6月の森、次には大好きな夏の森、
錦秋の森に、厳冬の森、きっとどの季節も素敵だと思います。

若草姉妹で行くなら、いつの森が良いかしらね?
良子ちゃんも奥多摩の森が好きだったよね。
カツラさんやブナさんや、ツガさんをご紹介するね(*^_^*)

sizuku #- | URL | 2012/06/14 21:29 - edit

なみちゃん、コメントありがとう(^o^)/
なかなか、お時間が合わないけれど、またお逢いしましょうね。
なみちゃんの、おおらかで明るい性格が、みんなの心を優しく包んでくれて、
和気藹々の雰囲気を作ってくれます。
とっても素敵な女性だなぁと思っています。
ぜひ、次回はハナネコ女子会、全員集合でお逢いしたいですね。

ギンリョウソウは、不思議なお花ですよね。
終わりかけになるとみすぼらしくなってしまいますが咲き始めは瑞々しくてかわいいですよね。

山つつじの鮮やかさは、本当にハッとします。
特に雨に濡れていたりすると最高に綺麗です。

sizuku #- | URL | 2012/06/14 21:42 - edit

ねえさま、素敵な森を歩いて来たんですね~~!!
ヒメレンゲ、これってひょっとして私の家の前を埋め尽くしているお花かしら???
何だろうな?でも可愛いな♡でも踏んじゃいそうだな(>_<)と
いつも見ながら出勤していましたよん。
カツラの巨木やブナ、ツガさんに会いたいです!!

ひだまり #- | URL | 2012/06/17 22:22 - edit

ひだまりちゃん、こんばんは(*^_^*)
今日も、素敵な森を歩いてきましたよ。
さくらとアカガシの巨樹に逢ってきました。
今日は急激に気温が上がり、蒸し暑くてバテました。
この気温差は、体にこたえます~^_^;

ヒメレンゲって水辺に咲いてるんですが、お庭に咲いているの?やっぱり、尾瀬周辺は植生が豊かね~♪

遠いけれど、いつか、奥多摩の森に巨樹たちを訪ねて来てくださいねヽ(^。^)ノ

sizuku #- | URL | 2012/06/18 00:45 - edit

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