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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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花紀行~出逢い~ 

十数年らい、一緒に仕事をしてきた同僚がいる。
職場の要となるような重要な職務を遂行してきた同僚は、その職務を
解かれたことがきっかけで、ぷっつりと糸が切れたようになってしまった。

昨年末から長期休暇を取っていたが、三月に職場復帰することになった。
ずっと気にかかっていたけれど、なんと声をかけたらいいのか分からず、
迷っていたが思い切ってメールを出したその日に、職場復帰が決まったと返信が来た。

『まだ、あまり元気じゃないけど…夜も眠れないし…』と、不安そうな文面だった。
「そうなんだ。ゆっくりとね。焦らなくていいと思うよ。
たまには、気晴らしに山歩きでもしない?」と誘ってみたら、
『行ってみようかな?』との返事。

そこで、もう一人の友人を誘い、奥多摩の花巡りに出かけることにした。
街の桜が散った頃、山の桜や、野のスミレを求めて…。

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最初に訪ねたのは、古里にある小さな山寺だった。
数週間前に、古里界隈を散策した時、見事な枝垂桜があることを知った。
山里を見下ろす、高台にあるこの古寺と枝垂桜が一目で気に入ってしまい
花の咲く時季に再訪したいと思っていたのだった。

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『桜は家にあるから見飽きたけどな…』と、浮かない顔の同僚に、
「まぁ、そう言わずに、ちょっとだけ寄ってみようよ。」
と、誘って、わたしは長閑な里道を先になって歩き出した。

あいにくの曇り空で、思ったようには桜が映えない。
それでも見晴らしのいい境内で、三人でお庭のお花を探してみた。
すると、お堂の戸が開かれて、妙齢のご婦人が顔を覗かせにっこりされた。
お寺のご住職さんの奥様だった。

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わたしは、「おはようございます。」とご挨拶を交わした。
「枝垂桜に誘われて登ってきました。少しお庭を見せていただいていいですか?」
とご挨拶すると、奥様は穏やかに微笑んで
『どうぞ、お上がりになって、お釈迦様に甘茶をかけてあげてください』
とおっしゃった。
みると、花に囲まれた小さなお堂が安置され、真ん中に小さな仏像が置かれていた。
花御堂と書かれたこのお堂は、花祭りにお釈迦様に甘茶をかけるための物らしい。

わたしたちは誰も仏教の作法を知らずどうしたものかともじもじしていると
奥様は『どうぞ、そのひしゃくで、甘茶をすくって、仏様にかけてください。』
と、優しく即されて、いったん奥に戻られた。

わたしたちは、それじゃ、お参りさせていただきましょうよ、と言う事で、
靴を抜いでお堂に上がらせていただいた。
教えられたように、お釈迦様に甘茶をかけ、手を合わせた。

堂内は、こじんまりとした小さなお寺だが、壁に素晴らしい壁画が置かれていた。
よく分からないのだけれど、芸術的な感じのするものだった。
後で、戦時中に疎開されていた絵描きさんが描いたものだと教えていただいた。

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すると、奥から『甘茶が入りましたから、どうぞ』という声がかかった。
わたしたちが、奥のお部屋に行くとお茶菓子の用意までしていただいてあった。
「ありがとうございます。いいんですか?」
わたしたちは、申し訳ないような、でも、とてもありがたい気持ちで、
招かれるままに席についた。

初めていただいた甘茶は、なんとも言えない甘みがあって、とっても美味しかった。
お庭に咲く季節ごとの花の写真などを拝見したり、今年初めて、お庭に生えてきた珍
しいキノコ(アミガサダケ)を見せていただいたり、裏庭の琵琶の木に実がなる頃に
なると、サルが食べに来るお話など伺った。
『さて、だいぶ食べごろになったから、明日はもごうかと相談していると、
かならず、次の朝、山からお猿さんが下りてきてみんなとって行っちゃうのよ。』
と、奥様は楽しそうにお話された。

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キャンプに来た福島の子どもたちがこのお寺に寄ってお昼を食べていったこと、
奥様は『カヤツリグサとか、雑草が好きなんです。でも増えすぎてしまうから
一本だけ残してもらって、あとは抜いてもらうのよ。』と少女のように
少しはにかみながら話される姿や、縁側を小走りに走って、しゃがみこんで
庭の草花を指差す姿は、とても可愛らしく感じるのだった。

奥からご住職さんが現われて『どうぞ、ごゆっくりしていってください。』
と笑顔で挨拶され、どこかに出かけられたようだった。
その物腰も笑顔も心のこもったもので、自然体で少しも嫌な感じがなかった。
袖すりあうも多少の縁ということわざがあるけれど、ご住職さんも奥様も、
それを実践されているのではないかと思った。

もう、二度と逢わないかも知れない行きずりの人だからこそ、出逢えた縁を
大切にする。
親切にされた旅人たちは、忘れられない想い出になるのかもしれない。
わたしは、素晴らしい方たちに出会えたことを感謝した。

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わたしたちは、丁重にお礼を言ってお寺をでようとすると、入口に置かれた
150円の甘茶飴を買った同僚に、奥様は、『それは、当たりくじ付の
飴なんですよ。きっと、当たりよ。』と、賞品のお茶碗を下さった。
立派な桐の箱に入ったお茶碗だったので、同僚が『とんでもありません。』
と言うと『いいんですよ。お持ちください。きっと良い事がありますよ。』
とおっしゃるのだった。「何から何までありがとうございます。」
わたしたちは、不思議な面持ちでお寺を後にした。
同僚はキツネにつままれたような顔をしていた。

後で、思ったのだけれど、この奥様には、同僚の心の痛手が見えていた
のかもしれないと思った。
振り返ると霧雨に煙る枝垂桜の花が、優しく見送ってくれていた。
まるで、そこに住む人の優しい心のように…

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こんなふうに始まった奥多摩花巡りの旅、終始曇り空で時折り、
細かな霧雨が降る、柔らかな一日になりました。
この後、滝を見に向かった渓谷で、スミレやハナネコノメなど
たくさんの花に出逢いました。そして、最後は満開の山桜…
この先は、デジブックでご覧くださいね(*^_^*)



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category: 森・山

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コメント

sizukuさん、こんばんは^^

まさに一期一会ですね。
お釈迦様のお導きだったのでしょうか。
同僚の方も奥多摩の春に癒されたことでしょう。

デジブックに写っていた露に濡れたムラサキケマンがとても印象的でした。
まるで宝石を纏ったようなお花達。
スミレ達も可憐でしたねぇ。
しっとりとした春雨に濡れながらの山歩きも悪くないな~ なんて思いました。
でも私達は晴れ女 ^^v

よしころん #- | URL | 2012/05/06 19:14 - edit

こんばんは

心洗われるお話・・・素晴らしい出会いとはこのことですね。
もしかしたらお寺の奥様は菩薩が変身した姿なのでは・・・

頂いたお茶碗は友人にとって宝物・・・きっと職場復帰も無事できることでしょう。

奥奥多摩の人たちはいつも温かいですね。

keykun #dNXrvxao | URL | 2012/05/06 21:55 - edit

よしころんちゃん、こんばんは(^^♪
そうですね。一期一会ですね。
よしころんちゃんの故郷の出逢いも昨夜読ませていただいてそんな気がしました。
不思議ですね。ふたりとも同じような経験をしたなんて(*^_^*)
考えてみたら、よしころんちゃんとの出逢いも、そうだったなぁと思ったり(*^^)v
わたしね。はるかちゃんに紹介される前に、よしころんちゃんのブログに行っているんです。
「こぎんさん」の記事から…そして、その日のうちに、こぎんさんのブログにも伺いました。
わたし、泣いてしまいましたよ…
よしころんちゃんにとって大切な方でしたね。
そして素晴らしいお友達でしたね。
わたしも、そんな別れがいくつかあって、ネットって不思議ですね。

ごめんね。思い出させちゃったかな?
そうそう!!わたしたちは晴れ女~♪

sizuku #- | URL | 2012/05/06 22:09 - edit

keykunさん、こんばんは(^^♪コメントありがとうございます。
さっき、わたしもkeykunさんのブログに伺ったところでした。
keykunさんのブログにも心温まるお話しが載っていましたね。
なんとなく、全てがリンクしているような不思議な感覚です。
お釈迦様って優しいですね。
何だか最近、山寺に行くとホッとしたりします。
これも秩父で札所巡りをしたお陰なんですよ。
奥多摩も奥秩父も、本当に人が優しくて長閑でいい所ですよね(*^_^*)

sizuku #- | URL | 2012/05/06 22:18 - edit

一期一会

こんにちは、モナスマです。久々のコメントですね。

この日の記事を何度も読ませて頂いたのですが、読む度に何ともいえない包まれるような優しさを感じるのです。

春の優しい雨の中に佇む山寺。そこでの心温まる出逢い。「仏様の導き」とは、こういう事なのだろうかと想いました。同僚の方も、sizukuさんの心遣いを嬉しく感じていらっしゃる事でしょうね。

デジブックも、見させて頂きました。

あの日、固い蕾だった枝垂桜。美しく咲いてくれましたね。来年、見に行きたいと思いました。

橋から望むハクモクレン。ハナネコノメ、アズマイチゲ、コチャルメラ、幾種のスミレたち。お気に入りは「マルバスミレ」なんてね(笑)見事な山桜は襖絵のように素敵です。

sizukuさんの、お写真は雨の日も素敵に撮られていらっしゃいますね。お日様の下で風に揺れる花も美しいけれど、雨の雫を湛えじっとしている花もけなげで可愛いですね。

BGMの鉄琴??の響きが、葉っぱの上を滑る雨粒のようにも聞こえました。
今回も、素敵なデジブックUPありがとうございました。こうして、見ているとまた山を歩きたくなってしまいます。

P.S.
私、ウクレレを習っていまして、最近「サクラ」を覚えました。デジブック開いて「おっ!」って思っちゃいました(笑)

モナリザ スマイル #- | URL | 2012/05/11 16:19 - edit

モナスマさん、こんばんは(^^♪
いつも素敵なコメントをいただきありがとうございます。
拙い文章と写真ですが、想いを感じ取っていただき嬉しいです。
人との出逢いって、やっぱり不思議ですよね。
でも、その出逢いをどんな風に捉えるかできっと違ってくるのかもしれません。

デジブックもご覧いただきありがとうございます。
わたしのは、長くて、ご覧いただくのも大変で申し訳なく思っておりますが、
こうして最後まで見てくださる方がいらっしゃるのは嬉しい限りです。

モナスマさんは、ウクレレを習っていらっしゃるんですか?
本当に多方面に才能のある方でびっくりしています。
おしとやかで控えめな外見からは想像できないような、情熱的な内面!
そのギャップに参りました(^。^)
いろんな事に挑戦する情熱が素敵!!
今度お逢いする時、そんなお話しが伺えるのを楽しみにしています~(*^^)v

sizuku #- | URL | 2012/05/11 21:52 - edit

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