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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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冬の足音 

東照宮を後にしていろは坂を上り始めた。
東照宮では、まだまだ紅葉も楽しめたし、結構バスツアーの団体客や
芸能人(古田敦さんと安野めぐさん)ともすれ違ったりしたけれど、
中禅寺湖方面はすっかり紅葉も終わったらしく、シーズンオフの平日となれば行き交う車もなかった。

カーブを曲って高度を上げる毎に、木々は葉を落とし冬木立となっていった。
明智平の展望台に着く頃には、飄々とした冬の森となり遠く越後の山々も見渡せた。
あんなに晴れ渡っていたのに、どんよりとした雲が上空を多い、強い風が吹きつけた。
そして、風花が舞いだし、一瞬わたしたちを包んだのだった。

『わぁ~!雪よ。日光は秋だったのに、いろは坂を上った途端、冬景色だね。』
アイリスはストールを巻き直して、強風と対峙した。
「あんなにいいお天気だったのに、急に雲が出てきたわね。今年初めての雪だわ…」
わたしは、淡い風花を受けながら、いつか、奥秩父の山で風花に包まれた日を思い出していた。
あの時も、ちょうどこんな感じだった。
空は晴れているのに山の上にかかった雪雲の切れ間から零れ落ちてきた
雪片が風に舞い、一瞬、辺りを雪景色にした。

『それにしても、車、少ないね。中禅寺湖に向かう人はいないのかしら?』
ガラガラの駐車場を眺めながらアイリスが呟いた。
「そうね。中禅寺湖も、ひっそりとしてるわね、きっと…」
車の中からフロントガラスを見上げると、雪の粒があっという間に解けて水滴になった。
青空とグレーの雲の空のまにまに、銀色の雫が光っているようで綺麗だなと思い写真を撮った。
アイリスは、『ほんと、綺麗ね~♪』と呟いてしばし眺めていた。

nikkou_417.jpg


ふとした、本当に小さなことに、お互いの心が触れ合って響きあう。
わたしは、この瞬間を忘れないと思うし、娘もまた心のどこかに焼き付けてくれたような気がする。
いつか、アイリスが、この母娘旅を思い出した時、
この銀色の雫を思い出してくれたらいいなと思った。

いろは坂を快適に下って、わたしたちは青く輝く中禅寺湖畔に着いた。
湖は強風に波立って、まるで海のようにも見えた。
この強風の中、ほとんど誰も乗船していない遊覧船が船着場に着いた。
今日の運行は、この便で取りやめるとアナウンスされていた。

湖畔に引き上げられたボートも、もう出番を終えたように横たわっていた。
あまりの強風に、わたしたちは一番近くにあったメイプルと言うレストランに逃げ込んだ。
室内には赤々と暖炉が燃えていて、温かくてホッとした。
オーナーが『寒いでしょう!奥の暖炉の側の席へどうぞ!』と案内してくださった。
「暖かな部屋に入ったら、急におなかが空いたね(笑)」
わたしたちは、“手練ねハンバーグランチとケーキセット”を注文した。
新鮮なサラダと、とっても美味しい俵状のハンバーグだったけれど、
二人ともよほど、お腹が空いていたのかな?写真を撮るのも忘れて食べてしまった。
だから、ハンバーグランチの写真なしです(笑)

さて、その後、かねてから行ってみたかったイタリア大使館に行くことになった。
湖畔を中心街とは反対方向にしばらく走って駐車場に止め、
雑木林の中の道を湖畔沿いに遊歩道が伸びている。
初夏から錦秋の季節なら、とても美しい遊歩道だと思うが、この時季はちょっと寂しい。

でも、冬木立の間から青々とした湖面が見渡せ、大きく聳える
男体山を眺めているとこの季節も良いなと思ってしまう。
枝から枝へと、エナガの群れやヤマガラがやって来てその姿を見つけるのも楽しかった。

やがて、湖畔に瀟洒な建物が現われる。外壁に杉の皮をあしらった
珍しい造りで、とてもシックな佇まいだった。
最初に資料を展示してある無人の管理棟を見学した後、
別棟の大使館へと足を運ぶ。こちらは管理人の方が二人いらっしゃった。

わたしたちが扉を開けて中に入ると、年輩の男性が迎えてくれた。
『いらっしゃいませ、写真撮影は自由になさって結構です。
100円ほど、寄付金をお願致します。ごゆっくりどうぞ。』
と、とても親切で感じの良い方だった。
撮影は自由と聞いて、わたしは俄然、張り切ってしまった(笑)

ちょうど、先客の家族連れがいらした。
若いお父さんがソファーに座り、小さな女の子がはしゃいでいた。
本当は、ソファーに座ってはいけないのだろうけれど、
管理人の人は何もとがめたりしていなかった。
別荘の居間でくつろぐ親子と言った感じでとても良い雰囲気が流れていた。

館内には喫茶コーナーもあり、女性の方が入れてくれる
コーヒーの香りが、鼻をくすぐった。
外はとても寒々とした冬の森と湖が広がっていたが、
大使館の中は灯りが燈り、暖房が行きとどき暖かだった。
でも、そのれは、暖房だけの暖かさではないと思った。
無機質な展示館ではなくて、人が住む温もりを感じたからだった。

二階もどうぞと案内され、わたしたちは階段をあがった。
そこは、大使の寝室や、客室などがあり、窓辺からは
中禅寺湖や、湖畔のウッドデッキなどが見渡せた。
窓ガラスはどこも良く磨きこまれ、少し歪んだガラスから
見渡す景色が、とても味わい深かったりするのだった。
アイリスは、窓辺に佇んでしばし、遠くを眺めていたが、
『素敵なところね。何だか異国にいるみたい。』そう言って
ふり向いた顔は、満足そうに微笑んでいて、わたしも嬉しかった。

わたしたちは、大使館を出て、湖畔を歩いてみた。
湖面を渡る強い風が、白い波頭を立てて荒い波を打ち寄せる。
打ち寄せた波が白いリボンのように波打ち際に流れては消えて行く。
浜辺のように細かな砂に、足もとが微かに沈み踏み跡が残った。
それは、夏のものとは違う、冬の足あとのような気がした。

桟橋には、舟の姿はなくて、急に雪雲が空を覆い
ひとしきり、粉雪を降らせたのだった。
大使館を粉雪が包み、森は雪が舞う冬の森となった。
わたしたちは、白い息を吐きながら、急いで車へと戻った。
すると、また、青空が戻り、湖面が眩しく輝いた。
『不思議な体験をしたような気がするね。』
「うん、知らない国の冬の森を体験出来て良かったね。」

わたしたちは、そのまま車を走らせて戦場ヶ原へと向かった。
ほんの少しだけ遊歩道を歩き、晩秋の湿原を眺めた。
きつね色の草紅葉は、すでに枯れ色で吹きつける風になびいていた。
冬木立となった白樺やカラマツの枝に風が鳴っていた。
重く流れた雪雲と青空との間から時々差し込む陽射しが
柔らかく湿原や、周りの山肌を冬色に染めていた。
白樺の白い幹に迎えられ、野茨の紅い実に見送られながら歩いた。

わたしたちは、晩秋の奥日光に別れを告げ、再び、車に戻り、湯ノ湖へと向かった。
午後2時を回ったばかりなのに、走っているのはもう、わたしたちの車だけだった。
ますます、雪雲は広がり、湯ノ湖に着くと周りの山肌は雪景色となっていた。
『わぁ、すっかり冬だね。金精峠は大丈夫かしら?』
「まだ、時間的には早いから、凍ったりしていないと思うけれどね。」
『気を引き締めて運転するね。』「うん、よろしくお願いします。」
なんて、言ったけれど、金精峠は吹雪だった(*_*)

路肩にいくらか雪が残っているが、道路は問題なさそうだったけれど
吹きつける粉雪が、まるで生き物のように、路面を白く流れてくる。
「うわぁ~!!吹雪になってる。アイリスごめんね。
危険な思いさっせちゃって、運転頑張ってね。」と言うと
アイリスは、真剣にハンドルを握りながら呟いた。
『おかあさんとの旅は、いつもサバイバル。八ヶ岳では死にそうになったし
花巻では自転車で何10キロも走ったし、もう慣れてるよ。(笑)』

こうして、無事、金精峠越えを果たし、ひっそりと静まり返った
尾瀬界隈を走り抜けわたしたちの旅は終わった。
晩秋から初冬へと走り抜けたような旅だった。

旅の様子をデジブックにまとめましたので、よろしければどうぞ。


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コメント

親子旅

親子旅満喫されたようですね。
最近めっきり家族で旅する機会が減ったので、羨ましいかぎり。
晩秋の、少し寂しげな景色が似合いますね。
この冬は、青梅あたりのカフェにもお邪魔する予定です。

kan #5wY3J9rw | URL | 2011/12/29 00:58 - edit

初めまして、こんばんは
私のブログに訪問とコメント有難う御座いました。
素敵な親子旅をされてらっしゃいますね!
本当にいい思い出になる事でしょう。
こちら鹿児島は殆ど雪が降らないのですが
そちらは山間部は雪や道路の凍結などが心配ですね。
くれぐれもお怪我の無いよう旅を満喫されて下さい。
お写真もとても綺麗です。
拝見させていただいていたら山に行きたくなっちゃいました(^^)

南十字星 #L8AeYI2M | URL | 2011/12/29 23:03 - edit

kanさんへ

kanさん、こんばんは(^^♪
すっかりご無沙汰していてすみません。
娘との親娘旅、相変わらず1泊2日の短い旅でした。
年に1度のイベントというところです。
娘も週末は、彼や友達とのお付き合いの方が忙しくて
最近は、わたしと出かけるのは買い物ぐらいなんですよ。
kanさんのお嬢さんたちも、成長され、すっかりレディですね♪
でも、お父さんが若くてカッコいいから、まだまだ一緒してくれて、幸せですね(*^_^*)v
そうそう、鴻巣から五日市まで…さすがですね。
素敵なカフェを見つけたら教えてくださいね(*^_^*)

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2011/12/30 00:45 - edit

南十字星さんへ

南十字星さん、早速お越しいただきコメントをありがとうございます。
長いデジブックもご覧いただきありがとうございました。
南十字星さんのブログには、以前、何度かお邪魔していたのですが、なかなかコメントできませんでした。
穏やかで優しいお人柄が感じられる素敵なブログですね。
風を感じるコトが好きなところ、週末の山歩きを楽しんでいらっしゃるところ、共通点を感じてます。
拙いブログですが、これからも、どうぞよろしくお願いします。

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2011/12/30 00:56 - edit

しいちゃん、冬の中禅寺湖は静かですね。

イタリア大使館、素敵な調度品、湖畔にあってとてもおしゃれですこと。

しいちゃん細いのに、ハンバーグセットとケーキセットとは、びつくり(^-^)/このケーキボリュームありそう。でも女性は甘い物は別腹\(^o^)/

親娘のサバイバル旅、来年は尾瀬に行けますように。

はるか #TY.N/4k. | URL | 2011/12/31 00:21 - edit

はるかちゃんへ

はるかちゃん、初冬の中禅寺湖は、本当にひっそりでした。
イタリア大使館も11月で休館と言う事でしたから、駆け込みセーフでした。
娘とよい時間を過ごせ、良かったです。
ハンバーグランチ+ケーキセットは、食いしん坊のわたしにはピッタリでしたよ^_^;
また、来年も母娘旅が出来る事を祈っています。
今年はいろいろありがとうございました。晩秋の百尋の滝は楽しかったね。
来年も変わらずによろしくお願いしますね(*^_^*)

sizuku #- | URL | 2011/12/31 23:06 - edit

イタリアン大使館、良いムードですね

しーちゃん 冬枯れの日光、良い感じでしたね。
特にイタリアン大使館の写真、どれも趣があってとっても素敵でした。
カメラを新しくされてからますますしーちゃんの腕が上がってさすが、さすがとどの写真も感心でした。
娘さんと一緒の思い出深い母娘旅のしっとりした感じも凄く伝わる写真でしたね。
そして私が以前湯ノ湖に行ったとき、金精峠を越えたかったんですよね。
尾瀬につながっているんですものね。
しーちゃんに先を越されてしまいました(笑)

お千賀さん #JalddpaA | URL | 2012/01/03 02:10 - edit

ちかちゃんへ

ちかちゃん、こんばんは(^^♪
「冬の足音」長いデジブックをご覧いただきましてありがとうございます。
初冬の中禅寺湖畔は、本当にひっそりとしていました。
イタリア大使館は、そんな冬の森の中に湖のほとりに建っていて、どこか知らない国に
迷い込んだようでしたよ。
人がいなかったのが良かったのかもしれませんね。
きっと、季節の良い時期には観光客もたくさん訪れているのかもしれません。
大使館って、もっときらびやかなものかと思ってましたが、とても慎ましやかで素朴で、
そこが好感持てました。ちかちゃんもいつか訪れてみてくださいね。
本当はもっとゆっくりしたかったのですが、結構駆け足でした。
金精峠越えが気になっていましたから^_^;
尾瀬のすぐ近くを通れる…それだけで嬉しいのですから、尾瀬病は重症ですね(笑)

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2012/01/03 22:54 - edit

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