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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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風をつかさどるものたち 

鷹の渡る季節

10月4日

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その山の頂では、熱い想いの人々が、みな一様に空を見上げて待っていた。
南へと渡っていく鷹の姿を…。
きっと、鷹を見る人々は、鷹の渡りで秋の訪れを実感するのかもしれない。

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やがて、抜けるように青い秋空の遙か上空に黒い点のような鷹の姿が現れる。
誰かが『来た!北西の方角に一羽います。』と声をあげると、みんないっせいに同じ方角を眺める。
『どんどん、こちらに向かっています。速い速い!』
『一回、羽ばたいて、そのまま流れて行きます。風に乗ったようですね!』

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『サシバのようですね。あっ、後方からもう二羽やってきます。』
『その後、後続に、3羽、4羽、5羽、続きます!』
『ようし、いいぞ!どんどん仲間を連れて来い!』
『凄い!20~30羽の群れが渡ります!』
『あっ!旋回を始めた。どんどん廻り始めました。これは、鷹柱になりますね!』

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クリックして拡大してご覧ください(それでも小さいですが)

そんな声を聞きながら、わたしは、必死で双眼鏡で鷹の姿を追った。
大空に放たれた矢のようなスピードで、南西の方向へ流れて行く鷹、
いっぱいに広げた翼に風をはらんで上昇気流に乗って、大きく旋回しながら高く高く上がっていく、これが帆翔であり鷹柱というのだと教わった。

青空をバックにした鷹のシルエットが、時折り陽射しを受けてきらりと光る。
なんて美しいのだろう。初めて見る光景に胸をときめかせた。

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今度は東からやってきた群れが、凄いスピードでこちらへ近づいているという。
『こちらへ向かっているぞ!どんどん近づいてきます。』
『これは、真上を通過するぞ!』
『サシバの中にハチクマもいます。』
『あっ、お腹が白い、ミサゴだね。綺麗だ~♪』

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『おや?ツミの声がする。』
『あっ!、やっぱりツミが飛び出したぞ!オオタカかノスリにちょっかいを出しに行ったな!』
『おっ!追いかけてる!空中戦だ!』
『相手はオオタカですね。多分!』

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小さな体なのに、自分の倍ほどもあるオオタカに挑んでいくツミ。
からかっているのだと言う人もいるし、遊んでいるのだと言う人もいる。
どちらなのか鷹の真意はつかめないが、二羽は激しい空中戦を繰り広げた。

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わたしは、始めてみる鷹同士のバトルにドキドキした。
ツミとオオタカは数回翼をあわせてぶつかり合ったようにも見えた。
数分間のバトルの後、二羽はスーッと離れていった…

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日本野鳥の会の方がいらっしゃるようで何度か、他所の鷹渡りのポイントから連絡が入る。
聞けば、青梅にもポイントがあり、日向和田の梅の公園にあるらしい。

誰かが、『青梅ではかなり、飛んでるらしいですよ。』と言った。
また、携帯が鳴る。今度は浦和の野鳥の会からの伝言らしい。
『今、浦和を大きな群れがこちらへ向かって通過したらしい。もうじきこちらにも来るぞ!』と、野鳥の会の方が言っている。
「もうじきって、後どのくらいですか?」と訪ねると、
『そうだな、あと30~40分ぐらいかな、今のうちにお昼を食べといたほうがいいぞ。来たら食べられなくなるからな。』そう言って、その方はお弁当を広げた。

頂上にある小さな小屋。この小屋は、週末になると麓から上がってくるおばあちゃんと息子さんが続けていた。でも、今年で、三代80年続いた茶店を閉めるのだそうだ。
わたしは、昨日、少しお話を交わしたおばちゃんの、優しい笑顔と息子さんの穏やかな笑顔を思った。
少しも気負う事無く、この山の頂で過ごす時間を大切にしているようにも見えた。

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手書きのお品書きも味わい深いと感じた。

この小さな小屋に、どんな物語があったのだろう。秋になると鷹の渡りを見あげる人々や、春夏秋冬ハイキングに訪れる人々を、きっと見守っていてくれたような気がした。そんな歴史にピリオドを打つ。何だか寂しい…ナと思った。

わたしも、おむすびを食べようと、茶店のおばあちゃんのところで、ウーロン茶を買った。
すると、誰かが叫んだ。『来たぞ!』
みんな慌てて、双眼鏡を持って立ち上がる。
『おお、来た来た!凄い群れだ。』
『旋回を始めた。鷹柱を作るぞ!』
え?鷹柱?そう思って、みんなが見ている真上の空を見上げると、20羽近い鷹が、大きく旋回を始める。

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こちらも、クリックして拡大してご覧ください。

やがて、ある程度の高度を上げるとみんな南西へと流れて行く。
その先には、富士山があるのだそうだ。
「ふーん、鷹も富士山を目指すんですね!」と、わたしは呟く。
その間にも、次から次へと鷹は渡って行き、切れ目が無い。
ズーっと見ていたいのだが、首が痛くて堪らなくなり、わたしは、双眼鏡から目を離した。
でも、誰も、目を離している人はいなかった。みなさん、さすがベテランのバーダーだと感心してしまった。

ひとしきり、鷹が渡った後、みんな、嬉しそうな笑顔を輝かせた。
『速かったですね。浦和から、15分で来たよ』
『いやぁ、高かったねぇ。かなり上を風が流れているんだね。』
『これだから、鷹はいいよね!毎年通って来てしまうんだよね。』
中には、もう、何十年も通っている方もいらっしゃた。
その人は、肉眼で鷹を見つけてしまうのだという。素晴らしいなぁとそう思う。

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 トビの飛翔。

また、渡り以外の猛禽類のトビやオオタカ、ノスリ、ツミ、チゴハヤブサ、ハイタカなども見ることが出来た。
その他の渡りの鳥は、ミサゴ、ノスリ、アマツバメ、イワツバメ、ショウドウツバメが見られた。
コサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキも見ることが出来てとても嬉しかった。
アサギマダラも美しく舞って満足だったし、思いがけず60羽近い群れで渡っていく「カモ」か「ガン」の渡りも見ることが出来て、素晴らしいサプライズだった。

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たった、2回目で、こんなにも素晴らしい日に出逢えたこと、そして、優しい先輩バーダーの方々に出逢えて感謝の気持ちでいっぱいになった。
午後2時を回り人々はみな、しあわせな想いを胸に一人、また一人と山を降りていった。
『お世話になりました。また、来年お逢いしましょう。』みなさん、そんな風に言葉を掛け合って去っていく。
わたしも、お世話になった方々にお礼をいって、山を降りた。

『また、来年もいらっしゃい!』『また逢いましょう!』
みなさん、そう言って見送ってくださった。

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遠い空の彼方を渡り行く鷹たち。
見ようとしなければ、少しも気づく事無く、わたしたちは日常を過ごしていくだろう。
鷹の渡りを見なくても、少しも困ることも無く、日々、過ぎていける。
でも、そんな渡りを熱い想いで見上げる人たちがいる。

小さな山の小さな頂で、ただひたすら空を見上げながら
翼を煌かせ、翼を広げ、大空を渡り行くものたちに想いを託す。
神々しくて、何か大きな力を感じて突き動かされる想い。
そんな、小さくて、大きなものを感じる人たちを素敵だと思う。
そして、わたしもまた、密やかで遥かなドラマを見つめられるそんな人でありたいと思う。

風をつかさどるものたち。
一年に一度の出逢いを胸に刻んだのだった。

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category: 森・山

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コメント

わたしも見たい

sizukuさん おはようございます。
鷹渡りの感動と興奮 伝わってきましたよ!
鷹柱! 帆翔! 新鮮で魅力的な言葉です。
わたしも来年は 絶対行きます。
わたしの人生に また新しい一頁を開けそうです。
ありがとうございました。

こいちゃん #mVtElozE | URL | 2009/10/13 06:27 - edit

こいちゃんへ

こいちゃん、こんばんは(*^_^*)
早速、コメントありがとうございます。
来年はぜひ、お出かけください。
先輩のバーダーさんたちが、とても親切に教えてくださいます。
ご一緒に秋の風物詩、鷹渡りを眺めましょう。
鷹柱! 帆翔! 本当に素敵な言葉ですよね♪
日本語には、その語感にふくらみがありますね。
何だか、ますます素晴らしい言葉だと感じています。

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2009/10/14 00:07 - edit

一気に読みました

素晴らしい日になりましたね!ツミとオオタカの空中戦も見られたなんてすごいです。あと浦和からの群れが通過していくというのも、リアルで感動的です。

大空に放たれた矢という表現、とても共感できました。
タカの渡りって見えるタカの姿は本当に小さくて、でもとてつもない壮大なスケールを感じますよね。双眼鏡の視野にタカの姿をとらえているうちに、なんだか熱いものがこみあげてきちゃいます…。

シュー #6AEdlCeU | URL | 2009/10/17 23:59 - edit

シューさんへ

シューさん、読んでいただいてありがとうございます。
シューさんに教えていただいた鷹渡り。
一番、シューさんに読んでいただきたかったんです(*^_^*)
本当に、感動しました。
>双眼鏡の視野に鷹の姿を捉えているうちに…
この言葉、すごくわかります。
やっぱり、実際に自分の目で見ることって必要ですね。
いままで、想像していたものより、はるかに壮大なものでした。
シューさん、教えてくださって本当にありがとう♪

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2009/10/20 01:10 - edit

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