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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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イーハトーブの旅(遠野編) 

遠野までは、約1時間の道程だった。わたしたちが出発したのは午後1時を回っていた。
レンタカーは午後4時に花巻駅に返さなければならない。
途中、給油する事を考えると午後3時までには遠野を出発しなければならなかった。
そう考えると、見学時間は1時間も無いことになる。
アイリスと相談したが、やはり、行くだけ行ってみようと言う事になった。

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「とんぼ返りになりそうだけど、運転は大丈夫?疲れるようなら花巻でゆっくりお昼
を食べて散策するのも良いと思うよ。」と、わたしは心配したが、アイリスの決心は固かった。
『時間が無くて、すぐ帰るようかもしれないけれど、せっかくここまで来たんだから計画通り遠野の町を見てみようよ。運転は大丈夫、そんなに疲れていないから…』

「お腹が空いたけど、このまま遠野に向かったほうが良さそうだね。途中のコンビニでおにぎりでも買って食べよう。今夜はご馳走だから、お昼は抑えておかないとね!」

『うん、今夜の食事は期待できそうだものね!楽しみ~♪』
わたしたちは、こんな事を話し笑い合いながら、美しい金色の道を快適に走りだした。

時間がないと言いながら、わたしたちは何故か高速道路を使わず迷わず一般道を走っているのだった。
幅の広い真っ直ぐな道がどこまでも続き、道路の両サイドは、豊かな実りの金色の田んぼが遙か遠くまで見渡す限りに続いていた。
緩やかな起伏を繰り返し、所々に林や森を散りばめて、どこまでも果てしなく続くのだった。

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「すごくいいね!この道。まるで北海道の道のようじゃない?」
わたしは、随分前に行った家族旅行での富良野あたりの丘を走る道を思い出していた。
あの時は田んぼではなくて畑や牧草地の風景で、枯れ色の草原に干草のロールが転がっていたりした。
ここも、緩やかな起伏が丘のように見える。
見渡しのいい田園風景は美しすぎて心を奪われた。

写真に撮りたいと思う場所がたくさんあったが、急ぐ旅だから、一生懸命にハンドルを握るアイリスに、車を止めて欲しいとは言えなかった。
そんなわたしの心を察したのだろうか、『お母さん、車を止めてあげれなくて、ごめんね。心のシャッターにしっぁり焼き付けておいてね。』と、アイリスは言うのだった。

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「そうだね~♪忘れないように目に焼き付けておくよ。賢治さんの家も盛岡も…今日、こうしてアイリスと旅したことは、どんな事があっても絶対に、忘れないよ。」
そう答えながら、わたしの心は、車を抜け出して、あの丘の上に立って眺めていたり、黄金色の稲穂の海の中を歩いているような気がした。

『おかあさん、まるでナウシカの世界だね。あの金色の野原を思い出すわ…』とアイリスがつぶやいた。
「ああ、あのオウムの子どもを放しに行く場面ね…」
すると、たちまち、あどけない子どもの歌声と、柔らかな光と風が降り注いだような気がした。
アイリスの感性は、時々、とても新鮮な光と風をわたしの心に吹き込んでくれるのだった。

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『それにしても、全然車が走っていないよ。』
「本当に、家も全然ないし、道、間違っていないよね?」
『うん、一本道だしね。カーナビもあってるし…』
「みんな、高速を利用するのかもね」
どういうわけか、遠野へ着くまで、まるっきり車に出逢わなかった。
わたしたちの後にも先にも一台の車も無い。わたしたちは美しい景色の中を遠野まで走り抜けたのだった。

やがて、田んぼの中を走る線路を見るようになり、長閑な佇まいの里山が広がり始めた。
今回、時間の関係でレンタカーの旅になってしまったが、こんな長閑な風景の中をのんびりと列車で行く旅も情緒があるだろうと思った。
「次に来る時は、絶対、列車の旅をしようね。遠野から、さらに釜石まで列車で行って海辺の景色を見るのも素敵だと思うわ」
『うん、いいね!おいしいものも食べれそうだね!』そんな事を話しながら遠野の駅前を走り抜けるとようやく車が行きかい、観光客の姿も見かけるようになった。

車窓の街並みも、どこか懐かしくて長閑で、昔からの変わらないノスタルジーが流れているような気がした。
わたしたちが見慣れている関東近辺の里山とはどこか雰囲気が違い民話のふるさとと言う言葉が頷けるのだった。
上手く表現できないけれど、きっと、この素朴さが東北の魅力なのだろうと思う。

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ようやく伝承園に辿り着くと、ここばかりは観光客が溢れていて、駐車場も空き待ち状態だった。
なんとか車を止め伝承園の中に入ったのは2時30分を回っていた。
『遅くても3時にはここを出発しないとね。ごめんね。急いで見るようになってしまって…』と、アイリスはすまなそうな顔をする。
「ううん、そんなこと無いよ。ここまで来る道程が素晴らしかったし、遠野の町は、本当に長閑で民話のふるさとって言う感じが良く分かったよ。この感覚はやっぱり、来て見なければ分からないもの、来て良かったわ。
それより、運転ご苦労様だったね。帰りはお母さんに任せて!って言えたらいいんだけれどね。アイリスに頼りっきりでごめんね。』

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伝承園の中には、曲がり屋作りの農家など、いくつかの茅葺屋根の建物があり、その中では村のお年寄りが昔話の語り部となる“昔話ライブ”というのも行われていた。
障子越しに人々の真剣な眼差しや、語り部の柔らかなお国言葉が漏れてきて、時間があったら聴いてみたいと思うのだった。
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あまりにも急いだから伝承園のコスモスが美しかった事ぐらいしか覚えていない。
ゆっくり回ればいろいろな発見があっただろうと思う。

わたしたちは、帰り道に河童淵にも寄ってみた。

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そこは、国道沿いに見ると、なんでもない川のように見えたけれど、田んぼを潤しながら曲がりながら続いていて、川沿いに歩いたら、何か発見がありそうな長閑な景色が広がっていた。
ずっと、歩いていきたい衝動に駆られたけれど、断ち切って、わたしたちはまた、あの美しい田園風景の中を戻って行った。

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『遠野はいっぱい見るところがありそうだね。今度来る時には、一泊してゆっくり見て歩きたいね。』
「うん、やっぱり、あちこち行きたいから、今度は自転車を借りて回るのも良さそうだね」
わたしたちは、そんなことを話しながら、雲の切れ間から差し込む夕映えの光に輝く稲穂を眺めながら花巻へと向かったのだった。(続く)
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コメント

すてきなところですね…。目的地もだけど、途中の風景の描写はさすがsizukuさんです。こういう風景を残していくために、何ができるのかなってよく思います。近所の田んぼもだんだん失われていくので…。

シュー #6AEdlCeU | URL | 2010/10/09 10:32 - edit

シューさん、ありがとうございます。
旅が終わった今でも、あの金色の稲穂が目に浮かびます。
今回の旅で、本当にどこまでも広い田園風景を見ることが出来ました。
わたしが二十歳のころに行った東北旅行で電車の車窓から見た風景が
今も変わらずにあるように思いました。
美しい米どころ…この豊かな自然、大切にしたい心の故郷ですね。

何が出来るのかな?って思い大切ですよね。
賢治は、短い生涯で献身的に生き、これだけ多くの人たちに
たくさんの教えや想いを伝え続けているって凄い人なんだなぁとつくづく思いました。
ひとりひとりは無力でも、ひとりでも多くの人が大切にしたいと思うことも、
癒されると思うことも大事なことなんじゃないでしょうか。
シューさんが発信し続ける鳥や故郷の山や、生き物のこと、家族のこと…
そんな全ての事が、ちいさな何かを変えていく。
わたしもシューさんの考え方に影響され、気づかせて貰った一人です。

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2010/10/10 09:02 - edit

本当に心の故郷、なんですよね…。
土ときちんと向き合っている方のおかげでこういう風景を見られるのだと改めて思うわけです。
自分では農業してないですし、親戚で田んぼを持っている家でも、私と同世代は農業を継ごうとしてないです。いつまでこうした風景が残るのかって危機感みたいのはあるのですが、兼業農家の厳しさもよくわかりますし…。
でもsizukuさんが書いて下さったように、自分が大事だと思うことを表現し続けるしかないですよね。
イギリス海岸も読ませてもらいました。その存在すら知りませんでした。銀河鉄道の夜が一番好きなので、やっぱり1度は行かないと行けません!

シュー #6AEdlCeU | URL | 2010/10/11 19:36 - edit

シューさん、こんばんは。
土ときちんと向き合う…本当ですね。
たとえば、エコさんのように、ですね!
これからも、お互い自分が大切にしたいと思う事を発信し続けたいですね。

イギリス海岸、何にもない事が素晴らしい、そんな場所です。
わたしも銀河鉄道の夜が一番好きです。
いつか、シューさんも訪れてください。
そして、その時、ちょっぴりだけ、わたしが見た風景を思い出してくださいね~(*^_^*)

sizuku #a8vfL3MM | URL | 2010/10/13 22:50 - edit

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