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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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雨音を聞きながら… 


今年は季節はずれの台風が、梅雨を運んできてしまったようだ。
例年になく5月中旬に東京も早い梅雨入りとなった。
6月の初め、朝から、細かな霧雨の降る日、こんな雨だからこそ、花も緑も美しい…
そんな景色が撮りたくて家を出た。

しっとりと雨に濡れた楓の緑が目に染みいるようだ。

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薄暗い森影を真っ白に染めて。ヒメウツギの花が咲き、雨に煙る。

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あぜ道に咲いたユウゲショウ、小さな愛らしい花の道

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マーガレットの原種だろうか?ヒナゲシのように可憐な花が土手を埋めている
昨年もその前も、やはり群れて咲いていたね。

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麦の穂は、金色の穂先をツンツンと空に向けてしっとりと濡れていた。

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雨に煙る里道は涼やかで、歩む度に、蛙の鳴く声が少しづつ大きくなる。
黄緑色の綺麗なアマガエル。喉を膨らめてくぐもるように鳴いている。
そっと、手を伸ばせば、透き通るような吸盤のついた足の冷たい感触が
やわらかく手のひらに伝わってくる。

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水を引いた田んぼをトラクターに乗った人が耕している。
畦には、青々とした苗が置かれていた。

陽水さんの初期の頃の歌を思い出す。
「危篤電報を受け取って」という題名だったかな。
病床の父のもとに帰る途中の歌だという。
なんだか、ありありと、しかも急に思い出すのって不思議だと思う。

  雨に濡れるだけの田植え唄 
  黒い牛の背なに乗った人
  空は見てるだけで壊れそう
  長い終わりのない田植え唄
  もうすぐだね。君の家まで…

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隣の田は、ヤグルマギクとポピーの花畑…
一面に揺れる花姿が、美しい花の波を作った。
綺麗だけれど、本当は田起こしをしたかったのかも知れない。

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休耕田のシロツメクサの花の間をモンキチョウがひらひらと舞う

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楓の葉の緑が、雨に濡れていっそうに美しい。
イロハカエデの翼果が、雨に濡れてピンクの色合いを濃くした

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白いニセアカシアの花房が、藤のように垂れて咲く谷戸。
桐の花は、涼やかな花をたくさん付けて凛と空に向けて腕を伸ばす。
白々と霧雨のベールが花々を包み込む。

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芍薬の花がたくさんの雫を付けて咲いていた。
一重のものも、八重咲きのものも、美しい。
花たちは、まるで、雨の音を聞いているように、しっとりとひそやかに咲いている。

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森影のシャガの花は、もうそろそろ花期を終わろうとしていた。
ヒカゲチョウが、ビロードのような茶色の翅を休めている。
翅裏の紋様を夜空に散りばめた星のようだと思えるのはわたしだけだろうか。

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秩父札所の山寺の屋根にかかる楓の新緑が美しくてうっとりした。

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小さな石仏たちのお顔さえ、しっとりと息づいている

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草生した野辺の石仏も、蕗の葉影で雨宿りをしている。

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ひっそりと雨音を聞きながら、ささやきあっているかのようだ。

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蔦の絡まる桜の古木の根元の石仏は、まるで桜の木の一部のように同化していた。
この樹と同じ年月を共に過ごしたのだろうか。

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子育て観音…秩父札所の古寺の軒先に安置された観音様。
娘の出産の無事を絵馬に書き願いをかけた。
慈愛に満ちた眼差しで観音様も雨音を聞いている。

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いくつかの札所を巡り、長瀞まで来た。
本当は風の丘というレストランを探していたのだけれど、見つけられなかった。
長瀞の岩畳に下りてゆく路地をゆっくりと降りていく。
古びた店構えに雨が似合う…小さなお蕎麦屋さんに入った。
こんな日は、古いお店の片隅で、道行く人を眺めながらお蕎麦を食べるのもおつなもの。

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そして、傘をさして、静かな石畳を歩く。
和舟も船着場で雨に煙っている…
鳶も雨の中、ゆったりと大きな翼をはためかせた…

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最後に、葉桜となった桜並木を歩き、雨に煙るSLを眺めた。

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遠く響く汽笛と、低くたなびく煙を吐き出しながら、
SLは、ゆっくりと駅を出て行った。

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ひとり雨音を聞きながら…
風情ある雨の風景を胸に、わたしは家路に着いた。
たまには、こんな一人旅が、わたしには必要なようなのだった…。

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子ども夢花火~10年先の花を咲かそう 

お友達のmasaさんのブログで南三陸町での花火大会開催へ向けて
地元の若者たちが中心となっての取り組みが紹介されていました。
masaさんも、お友達のエルさんのブログで知って感動されて転記されたとの事でした。

わたしも、お二人の記事から、そのサイトを拝見し、とても感動しました。
友達から、また、その友達へ…そんな、暖かい心のメッセージが繋がって行けたら
良いなぁと思いながら、わたしもブログで紹介させていただこうと思います。

子ども夢花火~10年先に花を咲かそうURL

南三陸町のネット販売のお店の「みなみな屋さん」その店長さんを中心に
若者たちが集まり、話し合い、地域の人たちの想いとかも乗せて始めた花火大会への道のり。

『いままで、当たり前にいつまでもあると思っていたもの…
それが、永遠ではないと知った時、失ってみて初めて知ったことがあった』
そんな言葉が、胸に響きました。

復興と、鎮魂、そして、未来ある子どもたちの心に明るい灯を燈したい。
ぎりぎりいっぱいで頑張っている大人たちにも夢を届けたい。
そんな想いで、始められた活動は、全国の人々に、その想いを購入してもらうという企画でした。

そして、全国の人々が、その想いを共有したのです。
素晴らしい事だなぁと感動に胸を熱くしました。

以下抜粋…

この花火大会の起源は今をさかのぼること50年前。
昭和35年の「チリ地震津波」で甚大な被害を受け
町民一丸となって復興にあたったことをきっかけに始まりました。

そう。今回と同じなのです。
そしてもう一つ重要なこと

こんな状況でも、大人を元気づけてくれる
こどもたちの笑顔。

そして10年後。

今10歳のこどもが20歳に成人した時、
この花火大会に参加して
あの震災から自分たちが"笑顔"で復興したことを
少しでも思い出してくれたら。。。

その「思い」だけが、
今、南三陸町がお届けできる何よりのお品なのです。

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この商品は完売されたそうです。
瓦礫と化した浜辺で、今年も花火大会が開催されることになったそうです。
きっと、素晴らしい感動の花火大会となる事でしょう。
きっと、子どもたちの心にも、大人たちの心にも、亡くなった多くの方々の御霊にも
実行委員の人々や全国の人々の復興にかけた祈りの想いが伝わるに違いないと思います。

こちらは、完売しましたが、東北の他の地域でも復興にかける花火大会が開催される運びとなったそうです。
このニュースもmasaさんに教えていただきました。
津波の犠牲になった東北の各地域や、福島の岩城市も入っているようです。
こちらは、まだ、義援金が足らないようなので、わたしも娘と一緒にわずかですが
協力させていただきたいと思っています。

東北花火大会義援金公式ホームページ
LIGHT UP NIPPON
LIGHT UP NIPPON ≫


わが青梅市では、花火は中止になってしまいましたが、
ぜひ、被災地での花火大会は開催して欲しいと思います。

category: 日々の思い

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5月の朝 

5月のある朝、久しぶりに週末の森へ出かけた。
やわらかな朝の光が、里山の小さな森を照らしていた。

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滴るような新緑に、まるで、どこか遠い場所にいるような気がした。

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なんでもない草はらが、避暑地の草原の様に美しく輝いた。

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小さな池には、つがいのカルガモが、静かに浮かんでいた。
この池に、カワセミがやってくる事を知っていたけれど、
少し待ったけれど、今朝は現れないようだった。

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池の水面に森の緑が映り込み、朝の静けさが漂う…

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透き通るような、緑の葉先をそよ風が揺らす
じっと見ているうちに、5月の朝の東雲…という言葉が心の内に浮かぶ
5月が好きだった父を思い出す。

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遠くにシャクナゲが群れて咲いてる
何度撮ってもぼんやりと霞む
しかたないね。これがわたしの腕前だから…^_^;

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草の茂った小道で、1メートルもありそうな蛇に出逢って、ドキッとした。
蛇も日向ぼっこをしていたのに、びっくりしただろうね。
ゆっくりと、森の中に消えて行った。

今度は、足もとの枯れ葉のなかで、カナヘビ君

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卯の花が匂う垣根に
ほととぎす 早も来 鳴きて
しのび音漏らす 夏は来ぬ

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わたしの周りをひらひらと舞うのは、クロヒカゲ蝶
『英名はレテ・ダイアナ、月の女神って意味だよ。素敵だろう?』
そんなふうに教えてくれた人の言葉を想い出す。
「あっ!ダイアナさんだ…止まってくれるかな?」
わたしは、そっと手を差し伸べた…

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ダイアナさんは、目の前に止まってくれた。
翅が透けてとても綺麗。翅の縁を光がなぞってくっきりと輝いた。
そして、ダイアナさんはゆっくりと翅を広げてそっと見せてくれた。
クロヒカゲの背中は、閃くグリーン色をしていたのだ…
初めて知ったよ。ありがとう。とっても嬉しい気持が湧いてきた。
ああ、誰かに教えてあげたいな。

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森影には、セリバヒエンソウとクサノオウが群れて咲いていた。
初めて、この森でセリバヒエンソウを見つけた時、名前が判らなかったけど、
今は、判る…葉がセリの葉に似ているからセリバ、ツバメが飛んでいるような花姿だから飛燕でヒエン草
そう、教えてくれましたね。
綺麗な青い花だね。なぜか毎年撮っている。

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緑の中で美しいね。クサノオウ
黄色い小さな蝶が舞っているみたい…

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ほんの小さな散歩道。
どこにでもある野辺の道。
でも、自然はこんなにも素敵。
5月の朝の東雲…空は青く清らかに輝いていた。

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category: 里山

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5月の小さな旅2 

森の中の地中海

五日市にある地中海料理のお店に行って見たいと思っていた。
やっと、チャンスが巡ってきたので出かけて見ることにした。
青梅から山一つ越えて五日市へと向かう。
長閑な里山の景色を楽しんでいると、茅葺屋根のお宅が目に入った。

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手入れの行き届いた美しい茅葺屋根。
『やはり、人が住んでいて生活観がないと興味が湧かないんだ。』
と、茅葺屋根が好きな友人がそう言っていたけど、納得だった。
わたしは、後方の畑に回って写真を撮った。
それにしても見れば見るほど素晴らしい建物だと思った。
できたら、内部も拝見させてもらえたらなぁ。なんて思ったりした。

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五日市の駅を通過して、山に向かって走って行く。
沢渡橋のバス停から、さらに細い林道を山の中へと登っていく。
回りには杉木立ばかり、本当にこんな山奥にお店があるのだろうか?
と心配になった頃、古びた一軒のお店が現われた。

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「あっ!あれだわ、きっと!!」わたしは、思わずつぶやいた。
建物は洒落た感じの洋館なのだが、白い漆喰の壁は、少し汚れていて、
煙突の部分とかがかなり崩れていた。
壁にかかった水色の看板には「地中海料理 メリダ」と書かれていた。
「ここに間違いないけれど、やっているのかしら?」
外観のイメージから、ちょっと不安になったけれど、駐車スペースには
何台も車が止まっていたし、お店の窓辺にも明かりが漏れていた。
「よかった!やってるみたい♪」わたしは、すっかり安心して笑顔になった。
友人も、興味津々の顔で目を輝かせていた。

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さっそく、扉を開けて中に入ると、とってもお洒落な感じ、
煉瓦と小石を組み合わせた床や、塗りっぱなしの漆喰の壁や、暖炉。
ほの暗い照明や、窓の外の緑、形の違うテーブルや椅子も雰囲気がある。

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厨房から現われたオーナーさんは、フラメンコを踊りそうな?
エキゾチックな感じの女性と、顎鬚をたくわえたのマスターだった。

わたしたちは、パエリアのランチコースをオーダーした。
トマトをたっぷり利かせた冷いオニオンスープは、トッピングに
ゆで卵やハム、赤ピーマンなどのピクルスがついてくる。

サラダはたっぷりの野菜と鴨肉のローストとブルーチーズ。

そして、メインディッシュのパエリアは、魚介のスープがたっぷりで
とっても美味しかった。

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食事に大満足のわたしたちは、オーナーの女性と少しお話をさせていただいた。
この建物は、ニコンの保養所だったものを、自分たちの手で数年かけて改装して
開店されたそうだ。道路を挟んで向かい側に、ネオエポックというギャラリーも
併設されていて、最初にギャラリーを作り、後に、このレストランを開業されたそうだ。

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メリダの二階は、宿泊施設になっていて泊まれると言う事だった。
また、メリダという名前は、地中海面した街の名前だそうだ。

『よろしかったら、ギャラリーの方もぜひご覧になってください。』と進められ、
わたしたちは、ネオエポックを見学することにした。

向かいといっても、少し離れた場所に、可愛らしい建物が立っていた。
坂道を登っていくと、猫がお出迎えしてくれた。
こちらは、今もなお、増改築がされているようで、作りかけの部分があるようだ。
外観は、何だか、森の中に忽然と現われたお菓子の家みたいな感じ。
メルヘンチックなんだけれど、チョッピリ怪しい…(笑)

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ネコがお出迎え(笑)

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どんなギャラリーなんだろう?そう思いながら、恐る恐る扉を開けた。
「いらっしゃいませ」と、声がして若い女性が迎えてくれた。
一歩足を踏み入れた途端、その素敵な雰囲気に不意を突かれた感じで
すっかり飲み込まれてしまった。

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“イタリア歌劇の世界へようこそ”というコーナーがまず目に入った。

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仮面をつけた人形やピエロの人形が存在感を持って、テーブルや窓辺に飾られていた。
陶器の持つ、土の柔らかさや素朴さが、なんとも味わい深い。
そして、その人形の持つ表情が異国情緒を感じさせ、中世のイタリアに旅してきたような気がした。

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テーブルや椅子やドアも雰囲気がある。全て手作りのようだった。

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その他にも、絵画やガラス細工のネックレスや装飾品、草木染の服飾品など、多数の
ものが展示され販売されていた。

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わたしたちは迷路のようになった室内をひとつひとつ見て歩いた。
いくつかの階段があり、吹き抜けになったようなところを上って二階へといけるよう
にもなっていた。

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二階には喫茶スペースもあり、斜めになった床に、作り付けのテーブルが並んでいたり、
とにかく、空間の利用が上手で本当に楽しかった。
まだまだ、これから、増築される部分もあり、未完成なところがまた楽しい。

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ゆっくりギャラリースペースを見て歩いた後、気に入ったアクセサリーと、陶器の木の実の置物を購入した。
そのラッピングも可愛らしくてすっかり気に入ってしまった。

友人は、『森の中で見つけた地中海だね。とっても素敵な一日をありがとう!』と、
喜んでくれた。

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帰りに、メリダとネオエポックとの間にある、神社に寄ってみた。

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ひっそりとした境内には、杉の巨樹が繁り、何だか静かで時が止まっているようだった。

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階段の上に鎮座した狛犬が、まるでお稲荷さんのキツネみたいで
夕日に照らされた顔を覗き込んだら、笑ってるみたいに見えた…

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その先の集落も、石垣を巡らせた路地や段々畑など、何だかタイムマシンに
乗ったような気持ちになった。

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一日で地中海と、日本昔話の世界を歩いたようで、とても不思議な旅になった気がしたのだった。

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category: お店

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5月の小さな旅…1 

吉川英治記念館

青梅に住みながら、吉野梅郷には2回だけしか行った事がない。
なぜかというと、梅の花が咲く頃の人の多さや車の多さに行こうという気が起きなかったのだ。
それでも、過去に訪れた2回は、長閑な景色に魅了されよい場所だと感じていた。
いつか、ゆっくり散策したいと思いつつ、わたしの気持ちはいつも山へと向かっていた。

梅郷にある吉川英治記念館も長いこと訪ねたいと思いつつ後回しになっていた。
今回、訪れてみようと思ったきっかけは、わたしのブログを読んで、名栗や青梅に
興味を持ってくださり、このGWに訪れてくださったはなはなさんのブログだった。

はなはなさんは、青梅に訪れる際に、吉川英治記念館にも立ち寄られ、
その時の様子をブログに綴られていた。
そう言えば行ってなかったなぁ…そうだ、わたしも訪れてみよう。そんな気持ちに
なったのだった。

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遅ればせながら、初めて訪れた吉川英治記念館は、美しい新緑の季節だった。
わたしは、通りに面した細い路地を曲った。「ああ、いい感じ!」
もう、その路地を曲ったとたんに、時間旅行の扉が開かれた感じがした。

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シックな黒塗りの板塀、そこに続く細かな格子戸。窓ガラスに映る新緑の木々。

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アヤメが、すくっと咲いている路地。
二人が並んで通ったら、道幅がもう、いっぱいになってしまいそうな細い路地が山へと向かっている。

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涼やかな新緑がそよぐ庭へと門をくぐる。
母屋へ続く小道と、庭園を巡る小道とがあったが、迷わず庭園に続く小道を選んで歩き出す。

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赤い緋毛氈の椅子も、風情があって、写真に撮りたくなる。
梅の花形の窓も、おもしろいな…と思って写した。

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楓の赤い新緑が、浅い緑の新緑や、深い緑の苔の色と美しいコントラストを見せている。

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黒花マンサクという樹が花を付けていた。(もしかしたら実なのかも?)
黒百合とか、チョコレートコスモスと同じように、花のイメージからは程遠い色目なのだが、
なんともいえないシックな色合いが、いいなと感じるのが不思議だ。

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楓の翼果が新緑の葉に映える。微妙な薄紅色がとても好きだ。

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茶色の新緑の中の翼果もまた、風情ある金色…

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わずかに残った赤い実に木漏れ日が遊ぶ

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柊の実は、翡翠色…

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ちろちろと木洩れ日が通う道…
そんなに大きくはない庭にはたくさんの樹木が繁り、何種類もの山野草が花を付けていた。

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都忘れって、綺麗な名前…
子どもの頃、家の庭に咲いていて、薄紫の花色が、わたしはなぜか好きだった。
母にその名を尋ねて、なおさら好きになった。
小4ぐらいの頃だから随分、おませな?子どもだったな…(笑)

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こちらは、踊り子草、この名前も好きだ。
たくさんの踊り子たちが踊っているように見えると言うのだが、
わたしは、踊り子草の名前から連想するのは、川端康成の伊豆の踊子の一節だったりする。

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二人静…この名前も好き。一人静も好きな名前。
でも、不思議、ヒトリシズカの花は、春先の日だまりに、たくさん群れて
咲いていて少しも淋しそうではないのに、
フタリシズカの方は、ほっそりと小さな花穂が寄り添って、木陰にひっそりと咲いている
寄り添っているのになぜか淋しそう…

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海老根蘭、黄と白の二種…何となくハクサンチドリに似てるななんて思う。
蘭の魅力って良く判らずにいるのはわたしだけでしょうか?

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わたしはすぐに花を写すのに夢中になってしまう。
スポットライトのように花々を映す木洩れ日の感じが本当に素敵なのだった。

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母屋や庭を見下ろすように小高くなった場所には二本の椎の樹が聳えていた。
巨樹といえるほどではないが、立派な根と幹と樹幹を誇る素晴らしい巨木だった。

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この樹の根元にはたくさんの金襴が文字通り美しい黄色の花を付けていた。
パンフレットに吉川英治さんが、この2本の樹の間から見下ろしている写真があったが
きっと、この巨木を愛していらしたのだと思う。

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芝生にはニワゼキショウの可愛らしい小さな花も…

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チチブドウダンの緋色の花が、柔らかな新緑に、アクセントを添えて美しい。
小さな鈴のような花房を、5月の朝風が優しく揺らす…
しゃらんしゃらんとかわいい音色が零れそうだった。

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シャクナゲの花はレースのような薄く透ける縁取りがあって素敵

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良い香りのウツギには、春型のサカハチチョウがやってきて、
ビロードに星を散りばめたような美しい翅を広げていた。

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吉川英治が好きだったという書斎は、質素な洋館だった。開き戸の窓を開ければ
きっと、あの椎の樹が眺められたことだろう。

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緑の庭に向かう大きな扉を開け放てば、レースの白いカーテンを膨らませて、
涼やかな風が吹きぬけたことだろう。

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今はガラス越しに見ることしか出来ないが、愛用の眼鏡や辞書などが置かれていた。
ふと、そこに、思索に耽る文豪の姿が見えるような気がした。

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漆喰の白壁の紋様も、床に張り詰めたタイルの紋様も、粋で美しかった。

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母屋に続く渡り廊下も、小さいながら弧になった木橋で、床板や手すりに
施された彫りものに至るまで、繊細な工夫が凝らされていて、古い日本家屋の
美しさに感心してしまった。

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磨きこまれ、一点の曇りもないガラス窓の、微妙な歪みがゆらゆらと陽炎のように
光を柔らかく取り込み、庭の緑が映り込んでまるで透き通った水面のようだ…

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縁側もいいものだなぁと感じる。昔はどの家にもあったのになぁ…

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広い土間は冷やりと、ほの暗く、その暗さが、時の流れがそこここに
うずくまっている様な、そんな錯覚に落るのだった。
ほんの少し、ドキッとして、心臓の音が聞こえるような気持ちになりながら
わたしは外に出た。

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絶え間なく、微風に揺らぐ、しなやかな枝先に楓の若葉が、幾重にも重なり合い、
青空に薄く透けて溶け込みそうだった。
結葉のイメージを映したくて、わたしはしばらくの間、楓の葉を撮るのに夢中になる。
いくら撮っても、思うようには撮れなくて、ふと気付いたら悪戯好きの春風に遊ばれて
いたような気がした。わたしは思わずくすりと笑ってしまった。

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小さな青梅の実、斑入りの綺麗な葉の下に隠れたユキザサの白い花…
名前は知らない青い花…
すっかり長居をしてしまった。わたしは、門を出て、散策を続けた。

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さっきの道よりもさらに細い小道が、草原に細々と続いている。
人一人、いいえ、猫一匹が辿るのにちょうど良さそうな道。

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イチョウの若葉が可愛らしく繁る樹の根元には、クサノオウの黄色い花が群れていた。
手入れの行き届いたお庭に咲く花も素敵だけれど、やはりわたしは、飾らない野の花が好きだ。

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道端の草むらに生まれたままに群れて咲く、こんななんでもない風景を切り取ってみたい。
こころのままに…そんな写真でありたいと願ったりする。

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細い路地の外れでシランの花が見送ってくれた。

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細い小道は、小さな神社へと続いていた。
石の小橋、木陰の草の中に取り残されたようなベンチ
お祭りの時には、神楽でも舞われそうな古めかしい舞台

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そして、神社へと続く長い石段の先は、何があるんだろう?
その先の風景は、次回の散策にとっておこう。
わたしは、小さな時間旅行にピリオドを打ったのだった。

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