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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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3,30 沈丁花に寄せて 

沈丁花の咲く頃になると、ユーミンの“春よ来い”のこのフレーズを思い出す。
なんて美しい言葉たちだろうか…

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淡き光たつ にわか雨
いとし面影の 沈丁花
あふるる涙の つぼみから
ひとつ ひとつ 香りはじめる

それは それは 空を越えて
やがて やがて 迎えに来る

春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の 懐かしき声がする

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実家の庭には、沈丁花の花があって、春先になると、そっと香り始めた。
薄紅色の固い小さな蕾が、ひとつひとつ開き始めると、花は柔らかな白になる
ふと気づくと、庭の片隅から、薫り始めているのだった。

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哀しみにくれたあの夜…
宵闇に中にうずくまるように、沈丁花の香りが漂っていた。
お寺の庭の片隅で、白く香るこの花に涙した。

3月30日…母の命日が近づくと、きまって、この花を探したくなる。
優しげなその香りに包まれると母を思い出すから…

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そして、桜草を見ると父を思い出す。
父は、花好きでたくさんの花を育てていたが、それは母のために育てていたのだった。
夏のノウゼンカズラもそうだけれど、春先の桜草はとても美しかった。
最初は、母のために買ったひと鉢だった。
次の年には倍になり、その次の年にも、柔らかな花びらが風に揺れていた。

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こぼれた種が庭に広がり、小さな桜草がモッコクの木の下一面に芽生えた時、可愛らしくてたまらなかった。

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母はとても喜んでいた。父は大切に桜草を増やした。
桜草に包まれた平屋の家を見たとき、父の事を急に思い出したのだった。

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桜草の花を両手に柔らかく包んで、頬ずりをしたら、
何故か父母の姿が浮かんで涙ぐんでしまった。

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category: 日々の思い

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星の界(ほしのよ) 

作詞 杉谷代水    作曲 コンヴァース

月なきみ空に、きらめく光、
嗚呼(ああ)その星影、希望のすがた。
人智(じんち)は果(はて)なし、
無窮(むきゅう)の遠(おち)に、
いざ其の星影、きわめも行かん。

雲なきみ空に、横とう光、
ああ洋々たる、銀河の流れ。
仰ぎて眺むる、万里(ばんり)のあなた、
いざ棹(さお)させよや、窮理(きゅうり)の船に。

この歌をご存知の方はいらっしゃるでしょうか?
この歌は、わたしに母が時々、口ずさんでいた歌です。
子どもの頃、耳で聞いていて何となく覚えていました。
とても難しい言葉が散りばめられていて、その意味も判らなかったけれど
それでも、子供心に遥かな無限の宇宙と言うものを感じた気がします。
そのメロディは、流れるように美しく、哀愁を帯びているようで
何となく、胸がキュンとしたものでした。

でも、それを聴いたのは随分昔の事だったので、その歌が何という
題名なのかも知らないままに月日は流れ去り、母もこの世を去り、
わたしの記憶の彼方に封印されたままになっていました。

そんな記憶の糸を紐解いたのは、青梅を散策していて出逢った小さなお店でした。

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お寺の境内の隣にあるお店…
慎ましやかな小さな看板と、入り口の前に置かれた小さな木の椅子。

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普通の平屋の民家、どう見てもお店には見えないのだった。
わたしは、おそるおそる、声をかけた。
「すいません。あのう、お店はやっていますか?」
中から、若い女性の笑い声が漏れ、『ママ、お客様みたいよ。』と言っている。
すると、暖かみのある年配の女性が現れて『はい、やっていますよ。どうぞ、お入りください。』と笑顔で通してくれた。

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部屋に入ると、小さなスペースにいくつかのテーブルと椅子が置かれ、
先ほどの若い女性たちが、奥のテーブルで寛いでいた。
『どうぞ、好きなテーブルにお座りください。今、メニューをお持ちしますね。』
そう言われて、わたしは、籐の椅子に腰をかけて、何気なく周りを見回した。
部屋の真ん中にはストーブが置かれ、真っ赤なホーローのケトルから湯気が上がっていた。

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板張りの白い壁際には、小さな木の棚が付けられ、小説や、飾り小箱、
ガラスの小瓶に、野の草が生けられ、金色の真鍮のようなランプなど置かれていた。
小説を手にとって見たら、そうとう古い本ばかりだった。

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窓辺には、見たことが無いような、飲み物の瓶が並べられ、
見たことの無い缶コーラやビールの缶。

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壁にかかった黒板のメニュー
わたしは、石釜ピザとパプアニューギニアコーヒーを注文した。

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ちょっと、手持ち無沙汰だったので、コマを回してみたり…(笑)

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部屋の片隅には、古いステレオがあって、懐かしい感じの女性のボーカルの声が流れていた。
何となく、80年代頃の歌かなと思いつつ、耳を澄まし聴いていた。
なんだか、友達の家に遊びに行ったような…
年長のいとこのお兄ちゃんの部屋に遊びに行ったような…
ノスタルジックで不思議な空間が広がっていた。

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薄暗がりが何とも言えない、郷愁の世界だ。
すると、ステレオから、この曲が流れ出した。
「あっ、この曲…」

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少し、ボサノバぽくアレンジされていたが、紛れも無く、母が歌っていたあの歌だった。
わたしは、思わず、ステレオの前に歩み寄った。
空のCDケースが置かれていたので、中の歌詞カードを見たら、“星の界”となっていた。
わたしは、胸がドキドキした。
まさか、今日、ここであの歌に出逢えるなんて夢にも思っていなかった。

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わたしは、美味しい手作りピザをいただいた後、エスニックな味わいがする、深入りのコーヒーを味わいながら店のオーナーさんと、お話をさせていただいた。
オーナーさんは、絵を描く人らしい。最初、この家は、絵を置くために借りていたのだと言う。
その後、何となく、このお店を始めたのだそうだ。
お客さんは、若い人が多いらしく、みんな思い思いに寛いで帰るのだとか。
何となく、判る気がするなと思った。きっと、居心地いいのだろう。
わたしが、ご自分の絵は飾らないのですか?と聞くと、オーナーさんは笑いながら、
『人にお見せするような物ではないんです。わたしの絵は、食べる事と同じだから…』と言った。
なんだか、その言葉が凄く素敵に聞こえて、ぜひ、見せていただきたいと思ったりした。
先ほどの、CDが素敵だったと言ったら、
『ああ、中山ウリちゃんと言う子なんです。わたし、大好きなんですよ!』とおっしゃった。
わたしも、このCDを探してみたくなった。

帰りがけに、オーナーさんは、青梅にお店を持っている仲間たちの事を教えてくださった。
ギャラリーやカフェなど、青梅には芸術家たちも多い事を知った。
オーナーさんは、店の外まで見送ってくれ、また、ぜひ、どうぞと言いながら、駅への近道を教えてくれた。

その近道と言うのが、民家の庭先を通り抜ける道だった(笑)
ますます、青梅の魅力にはまっていきそうな気がして、星の界のメロディを口ずさみながら帰ったのだった。

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category: 音楽

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母となって 

数日前からてっちゃんが発熱している。
日曜日の夕方『おかあさん、てっちゃんが39.5度も熱があるんだけれど、大丈夫かしら?』と、心配そうな声でマーガレットが電話をかけてきた。

「そうね。機嫌が良いなら、あまり心配はいらないと思うけれど…
もし、ぐったりしてくるようなら、夜間診療の病院に行って診てもらった方が良いね。」と、言ってみたものの様子が判らないので気にかけていたら、
その後すぐに、『おかあさん、ママ友さんに聞いたら、深夜になると、救急は甲府の病院まで行かないと駄目だから、早めに診てもらった方がいいよとアドバイスしてもらったから、これから病院に行って来るね。』と電話があった。

今日は、彼が仕事で帰宅が遅くなるので、マーガレットが一人で、車で30分ほどのところにある病院まで連れて行ったそうだ。突発性発心かもしれないから、様子を見ましょうと言うことで、解熱用の座薬だけ処方されたとマーガレットから夜、電話が入った。

その晩も次の日も、その次の日も、熱は全く下がらず40度を越えている。
夜も泣いていて布団に寝かすと起きてしまうので、ずっと抱っこしている。
脱水症状にならないように水分を取らせているけれど、熱性痙攣が心配だとマーガレットは電話口で不安そうに言った。

そして、明日から彼が仕事で1週間留守になり、車も無くなるので、心配だから実家に帰らせてもらったらどうかと言うんだけれど、帰ってもいいかしら?と聞く。
「そう、てっちゃんが、無理じゃなかったら、帰ってきていいよ。」と答えると、早速、彼が仕事に向かいながら車で送ってきてくれた。

マーガレットは、『ああ、家に帰ってきただけで安心ししたわ。』と言った。
てっちゃんは、真っ赤なほっぺでうつろな眼差し、小さな手も足も熱を帯びてほてっていた。
それでも、わたしたちが名前を呼ぶと、にこっと笑顔を見せてくれる。
最近覚えたという、バイバイを何回も繰り返すのだった。

夜になると、熱はさらに上がって、40.5度になってしまった。
寝付かず、力なく泣いているてっちゃんを抱っこしながら、
『おかあさん、今日で丸三日目なのに、熱が引かないなんて、突発性発疹じゃないのかな?こんなに熱が高くて、髄膜炎とかにならない?大丈夫かなぁ、凄く心配だよ。』
とマーガレットは不安で堪らない様子で、『代われるものなら、わたしが代わってあげたいよ…』と、つぶやいた。

わたしは、マーガレットも母親になったのだなぁと思いながら、自分自身が子育てをしていた若かった頃を思い出していた。

「だいじょうぶよ。赤ちゃんはすぐに高熱を出すものよ。
でも、意外と熱には強いものなのよ。あなたたちも、高熱を出して、一晩中、タオルを氷で冷やしながら看病したこともあったわ。
今夜はおかあさんも一緒に付いててあげるから、あなたも少し眠ったら?」

『おかあさん、ありがとう。本当に親のありがたさが身にしみるよ。
こんな風に苦労をして育ててくれたんだよね。それなのに、昔は悪口を言ったり、反抗して心配ばかりかけたんだよね。
ほんとうにごめんなさい。今になってやっと分かったわ。』と、しみじみ言うのだった。

「おかあさんも同じだったよ。あなたたちが熱を出したと言っては、おじいちゃんやおばあちゃんに来てもらっていたのよ。おじいちゃんもおばあちゃんも優しかったから、すぐに飛んで来てくれたわ。いっぱい面倒を見てもらって本当にずいぶんとお世話になったのよ。みんなそうなのよ。子どもを育てながら自分も成長していくんだよ。」

『てっちゃん、頑張ってね。ママは、いいおかあさんになれるように、頑張るからね。』と言ってマーガレットは熱に浮かされて泣いているてっちゃんの体を抱きしめるのだった。

マーガレットは、どことなく顔立ちが、おばあちゃんに似ている。
一生懸命子育てをするマーガレットを見つめていたら、ふっと亡き母の面影が重なって見えて目頭が熱くなった。
きっと、どこかで母がこの光景を見ていてくれるような気がして、わたしもまた、母として頑張っていこうと思うのだった。

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category: 日々の思い

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ある、春の夜話 

アイリスが仕事を終えて帰宅する。軽やかなエンジン音が響き、
バックランプの赤い灯がキッチンの飾り窓を照らす。
わたしは、テーブルに並べ始めた夕餉の支度の手を止めて、
ティーカップを暖め、琥珀色の紅茶を注ぐ。
しばらくして、キッチンのドアを開けてアイリスが入ってくる。

『おかあさん、ただいま』「お帰り~紅茶、入れたわよ」『うん、ありがとう』
そして、アイリスはいつもの自分の席に座ってティーカップを両手に包んで話し出す。

『おかあさん、今日ね。二階の階段を降りるとき、ふわっといい匂いがしたの。
ああ、この香り、何だったっけ?と思って回りを見回したら、階段の手すりに小さな花瓶が置いてあって、沈丁花の花が一枝差してあったのよ。
とってもいい匂いだったの。しばらく立ち止まって見入ってしまったわ。
でも、その花の名前を知っている自分がちょっとおかしかったの。
だって、同世代の女の子はきっと知らないもの。わたしって、やっぱり渋いのかな。』
と言って、ちょっと笑って、アイリスは続けた。

『その後、お昼休みにね、病院の庭に沈丁花の花がある事に気づいたの。
きっと階段のあの花は、カネちゃん(お掃除のおばさんだそうです)が、飾ってくれたんだと思うんだ。』

『それからね。玄関のところには、白梅があるんだけれど、今、とっても綺麗に咲いているのよ。いつも綺麗だなぁってやっぱり、ちょっと立ち止まってしまうんだ。
青空に咲いていると、桜みたいに華やいで綺麗なの。
夜帰る時だって、灯りに照らされて透けるように綺麗なんだよ。

今日、作業をする業者さんが来て、5人の人がその梅の下を通ったの。
若い女性もいたんだけれど気づかないふうで、誰も立ち止まらないなぁと思っていたら、一番最後に通ったおじさんが、立ち止まって、わぁ~!綺麗だなぁ~!って言うように、振り返って見上げていたんだよ。
あっ、あの人、わたしと同じだって思ったら、何だか嬉しくなっちゃった。』

『それからね。今日、コブシかな?白木蓮かな?どっちか判らないんだけれど、蕾がはじけて白い花びらが覗いていたよ。おかあさんに教えてあげようと思って…』

「そう!もう、コブシが咲き始めたのね!週末の森の大きなコブシの木も咲き始めたかもね。下の枝から、どんどん蕾が膨らんで、あっという間にてっぺんまで上り詰めるようにして花開くのよね。
まるで白い小鳥が、枝から飛び立ちたがっているみたいにね…
見たいなぁ。今度のお休みには見に行ってこようかな。」と、わたしが言うと
アイリスは『うん、行ってみて。きっと綺麗だよ』と、にっこり笑った。

「じゃ、ご飯にしようか?」
『おかあさん、手伝うよ。』そう言ってアイリスは、お味噌汁をおわんによそりだした。

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category: 日々の思い

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憧れの地へ…3 

わたしたちは、かなりな急勾配の道を黙々と登り上げてく。
狭まったV字の美しい渓谷と、自然林の美しい森に包まれた素晴らしいエリアは、たっぷりと真っ白な雪に覆われていたが、やはりだいぶシャーベット状になって、歩きづらかった。

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雪の表面にはポコポコと枝先から落ちた雫の後がクレーターのように残っている。
春の雪なんだなぁと思った。

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かなり登りあげて振り返れば、向かいの山がどんどん低くなっている。

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『この辺りで、お昼にしましょう。』とKEYさんが告げた。
群馬の山岳会の方たちが、雪を踏み固め座る場所を作ってくださった。
shinさんが、敷物を敷いてsizukuさんここに座っていいよと言ってくださる。

KEYさんのザックからは次々と食材が飛び出し、クロちゃんが、それをコンロの上に乗せた焼き網で焼いてくれる。
KEYさんは、みんなのお皿まで用意していてくれていた。
サラダ・ウインナーソーセージ・さつま揚げ(これが絶品)焼き上がった食材が次々と回ってくる。
群馬隊からは、チェダーチーズ・ユバ・ほうれん草のお浸しと、山なのに、とっても豪華なランチだった。
わたしは、すっかりご馳走になってお腹がいっぱいになってしまった。
そして、〆は、何と言ってもコーヒー(*^_^*) みなさん本当にご馳走様でしたm(__)m
写真を撮るのを忘れてしまうくらい美味しい食事でした。

ランチで1時間ほど休憩し、一同はすっかり元気になってまた急坂を登りだした。

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イヌブナの葉は、冬を越え、早春の頃まで残っている事が多い。

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何の実か判らないけれど、雪面にまき散らしたように転がっている。

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何の樹だったのだろう?大きな倒木が横たわる所まで来た。
『ここまでくればもう少しですよ』と、KEYさんが言っている。

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振り返るとこんなに急なところを登ってきた事になる。

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ハリギリかな?なかなか立派な樹だった。

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そう、この樹間は、やっぱりハリギリだわ。

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やった、この場所らしい。みんなの足取りが早くなる。

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『良かった、ほんの少しですが、咲いていますよ!咲いていてくれて良かった』
と、KEYさんが、膝まずいて写真を撮りながら言った。
『この樹の根元までは道がありますが、ここから先は道がありませんので、ここまでとしておきましょう。』
さすが、この森を熟知し、心から大切に思ってきた人たちなのだと思った。
わたしたちは、雪の下に芽生えているであろう福寿草の芽を踏み荒らす事のないように、その場所を動かずに代わる代わる写真を撮った。

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ツララとフクジュソウ。雪の穴の中から、可憐に咲き出した。

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雪の中から顔を出した蕾

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かわいい♪

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樹の根っこにしがみつくように…

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白い雪の中に映える黄色い花色は美しくて

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愛らしくて

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言葉はいらない

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咲いていてくれてありがとう。

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ほんのりと灯りを燈したようで…早春の妖精たち

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『本当は、この樹の根元に立って、上を見渡せば、まるで金色の絨毯のように咲いていて、何となくふぁっと地面が盛り上がったように見えるんです。今日は、この数輪の蕾を見て、そんな光景を想像してください(^^)』と、クロちゃんが言った。

「はい、目を閉じれば、素晴らしいお花畑が見えますよ…♪」

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わたしたちは、フクジュソウに名残りを惜しみながら別れを告げて下山を開始した。

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午後の陽射しがブナの枝先を染める。
山々は早くも夕映えの時を迎えているようだ。ここは谷筋なので早く日が翳ってしまうだろう。

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急がなければ…わたしたちは暮れ行く太陽と追いかけっこをするように下山した。

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とても美しい倒木と…

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なんとも優美な枝振りの巨樹を忘れたくなくて写真に収めた。

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早くもみんなはあんなに先のほうへ…

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やがて、登り始めの渓谷へと降りてきた。
苔むした岩の緑がとても綺麗で、美しい渓谷だった。
とうとう、憧れの山に登ってきたんだと思ったら感慨深かった。
これも、一緒に行ってくださった皆さんのお陰だと思った。

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わたしは周りの山々を眺め、ふと、懐かしい感覚にとらわれた。
子どもの頃から慣れ親しんだ遥か彼方に連なる薄紫の山脈を思い出したからだ。
それは、ふるさとの山の姿だった。
誰にでもふるさとの山がある。
17歳ごろから22歳まで、よく歩いた山々、わたしを育んでくれたのは、ふるさとの山々だった事に気が付いた。

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今、わたしは、奥多摩の山や森を愛している。
奥秩父と奥多摩は隣同士でよく似通った山域だけれど、それぞれが持つ風土が微妙に違うような気がした。
これからは、ふるさとの山もたまには、歩いて見たいと思った。
この、フクジュソウの谷にも、また来てみたい。

新緑の頃は浅緑色の風が流れ、渓流は煌めく眩い光を集めているだろう。
初夏の頃は心地良い涼風が立ち、渓流は水飛沫を木洩れ日に染めるだろう。
錦秋の頃は秋色の風に舞う木の葉が渓流を彩り、木の実の落ちる音が静かに哀愁を語りだすだろう。
そして、白い冬、青い空、明るくなった梢を空色の風が吹きぬけ、渓流は沈んだ落ち葉の錦に、空の青を混ぜる。

そんな春夏秋冬をこの森で過ごしてみたい。
森の中に吹き渡る風が春を運び、福寿草の花色に染まる早春の季節が巡るまで…

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帰り道、楽しく会話を交わしながら、わたしたちは無事に9時間あまりの山旅を終えた。
お名残り惜しく、群馬山岳会の人たちとはここでお別れとなった。
こうして、一日をご一緒できたのも何かの縁でしょう。お世話になりました。ありがとうございました。
そして、shinさん、KEYさん、クロちゃん、本当にありがとうございました。

山は束の間の出逢いと別れ…
でも、またいつかお逢いしましょう。出来たら、福寿草の咲くあの花園で。

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category: 森・山

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憧れの地へ…2 

ところどころに、山仕事の人の休憩小屋があり、その中を通していただく。

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トップを行くのはkEYさん、しんがりを勤めるのはクロちゃん、共に秩父の山に精通したベテランの登山家だ。
飄々とした雰囲気のKEYさんと、ラガーマンのように頼もしいクロちゃんの名コンビは、阿吽の呼吸で、わたしたちを目的地へと導いてくれた。

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杉の植林帯を抜けると、道は伐採地の中ほどを巻くように伸びている。
伐採地の中は日当りが良く、雪が消えて地面が出ているところもあり、群生地は日当りが良いので、もしかしたら少しだけでも花が見れるかも!!と、みんなの心の中に期待が膨らんだ。

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人ひとりが、通るのがやっとの細い道で、途中路肩が崩れ、崩壊寸前の場所もある。
今日は雪で滑りやすいので注意しながら歩くが、開けた景色や、時々現れる大きな樹などが気になって仕方がない。
わたしは、あちこち、キョロキョロよそ見ばかりしていた(^_^;)

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この辺りにはイノシシ避けのネットなどが何重にも張り巡らされていて、登山者はネットの一部を開けて通過し、また扉を閉めて紐で縛るという事を余儀なくされる。
ここは地元の方の山であり、その一部を通過させていただいているのだから、きちんと閉めるのが心ある登山者のマナーであり、ルールなのだ。
みんなが通り抜けた後、クロちゃんは扉を閉めて丁寧に紐で結んでいく。

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『目的の秘密の花園は、あの山の向こう側ですよ。』と、KEYさんが指差しながら教えてくれる。
思っていたよりもずっと奥地だという事が分かった。

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やがて道は小さな沢を横切った。ここはハナネコが咲くのだと教えられ、目を凝らすと、あっ!咲いてる!ほんの数輪が水辺に花を咲かせていた。

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そして、その隣にはユリワサビの小さな花が一輪だけ咲いていてくれた。かわいい!!

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道は岩ゴロの道となり、今度は、雪ノ下に隠れた岩が滑ること^_^;
小さな滝が現れ、ここで沢へと降りて渡り、さらに、低い尾根を越えてもう一つ奥の沢へと向かう。
もう、道と言えるものは無いに等しい。

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KEYさんからは、アイゼン装着の指示があり、クロちゃんからは、3点確保で慎重にと指示がある。
わたしたちは、急な所は、這うようにして進んでいく。こうして、やっと最終の沢に辿り着いた。

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ここからは一気に、沢を上り詰め、その先には秘密の花園が待っているのだ。
林床には、たっぷり雪が残っているが、そこは春の渓谷だ。流れに沿って雪はまだら
になり苔むした岩や、さらさらと流れる渓流が顔を出している所も多い。

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まだ、すっぽりと雪に閉ざされている場所でも、その雪の内部で水が流れているのだろう、
耳を澄ませば、微かに、春先の渓流の歌うような音が聞こえてくる。
「ああ、なんていい音かしら。雪の下から、ポコポコと春の音がするわ!」と、独り
言のようにつぶやくと、『本当に、いい音ですよね!やっぱり、春だなぁ♪』と、ク
ロちゃんもつぶやくのだった。

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『さあ、ここからが、急坂の正念場ですからね!』
KEYさんから、激が飛んだ。一同、気を引き締めて登りだすのだった。

(次回へ続きます)

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category: 森・山

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憧れの地へ…1 

奥多摩と奥秩父の県境の山奥に、人知れずフクジュソウの群生地があることを知ったのは昨年のことだった。
自然のままの素晴らしい群生地のため、自然保護の観点から、そして、一般の登山道ではなく地図にも載っていないので危険防止などの理由で詳しい記述は省かれていた。

一般公開されていない秘密の花園だが、わたしは、独身時代に奥武蔵や奥秩父の山を歩いていたこともあり、多少の土地勘があったので、数少ない地名から大体あの辺りだろうとの見当はついた。

この冬中、地図を眺めながら暖めていたいた思いを実行すべく、2月始めにその場所へと足を運んでみた。
最終バス停から、橋を渡り、沢を見ながら林道を進んで上り口を捜してみたが、見つからないままに、とうとう林道の終点まで来てしまった。

目的の秘密の花園には沢に沿って登り上げるようになっていたので、沢に降りて探してみたが、どうもこの場所は違うようだった。
となると、登り口は、杉木立の中へと続く、あの一箇所だけだと思った。
最初から、その日は下見の積もりだったので、目星を付けた道の探険は次回にして林道を戻る事にした。
最初に渡った橋の袂に地元のおじさんがいたので、挨拶を交わし、ちょこっと情報を聞いてみた。

すると、やはり、登り口は、目星を付けたところで間違いないようだった。
おじさんは『まだ、行っても咲いていないよ。お彼岸の頃に来れば、大勢登っているから判ると思うよ。』と、教えてくれた。
そんなにメジャーになってしまったのかと、ちょっと残念な気持ちにもなったが、次回はきっと辿り着けそうな予感がして嬉しくなった。
わたしは、おじさんにお礼を言って別れたのだった。

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後日、その事をブログに綴ったところ、秩父にお住まいのshinさんが、shinさんの山仲間の方が案内してくださるので、よかったら一緒に行かないかと誘ってくださった。
わたしは、願ってもないチャンスなので、連れて行っていただくことにした。

約束の3月13日、期待に胸を膨らませながら早朝の西武秩父の駅に降り立つと、改札口のところで、shinさんが待っていてくださった。
集合場所の駐車場に行くと、すでに今日のメンバーが待っていてくれた。
shinさんのお友達の秩父山岳会のKEYさん、クロちゃん、群馬山岳会の“大田ハイキングクラブ”の4名のみなさん、そしてわたしの8名が揃った。

わたしは、どなたとも初顔合わせで緊張したが、shinさんがいろいろ気を配ってくださったので、すんなり皆さんのお仲間に溶け込ませていただくことができた。
それぞれ車に便乗し目的地へと向かう道すがら、武甲山は前々日に降った雪で真っ白だった。
今日の主催者のKEYさんとクロちゃんは、雪の状態をしきりに気にされているようだった。
わたしは、その場所に行けると言うだけで嬉しかったけれど、主催者としては、参加者に素晴らしい花園を見せてあげたいと言う思いが強くなるのも分かる気がするのだった。

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目的地に着くと、そこには長閑な山村風景が広がっていた。
ここは獅子舞でも有名な村だと聞いた。路地の所々に、ユニークな木のオブジェが、訪れる者を歓迎してくれ
ていた。

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地元の方が作ったのだろうか?丸木や枝をそのまま利用した動物たちは、素朴でなかなか素敵だ。
道路ではなく森の中に飾ったら、きっと良く似合うと思った。
たとえば、森の広場にこんな動物たちのオブジェを集めて、森を丸ごとの美術館にしたら素敵だろうなと思う。

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まぁ、そんな空想はさて置き、身支度を整えて歩き出す。
やはり、登り口は、あの杉林へと続く道だった。
最初から雪が深く残っている急坂を登っていくと、杉木立の奥の小高いところに廃村になった集落があるのだという。
群馬の山岳会の方が、この廃村に見事な防風林があるらしいと言ていた。

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みなさん、良くご存知のようで感心した。しばらくすると行く手の丘に立派な防風林が現れた。
杉の樹と葉を落とした枝先は、ケヤキだろうか?かなり巨木のように見える。
帰りに時間があれば寄ってみようと言うことで先に進む。

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やがて2軒の廃屋が現れ、ここが最後の集落となる。

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雪道は30センチほど積もっているが、春のポカポカ陽気に表面が溶け出したっぷりと水気を含んでかなり歩きづらい。
足を乗せるとズボッズボッと沈むのだ。わたしは、足を取られながらも初めての道にワクワクするのだった。

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(次回へ続く)

category: 森・山

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すみれ色の便り 

そろそろ、野山にはスミレたちが咲き始める。
ちいさな、ちいさな、路傍の薄紫に、はっと足を止めれば
その花は、そこはかとなく優しく、見上げている

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暖かな陽射しを見上げているタチツボスミレの
透き通るような可憐な薄紫の花びらは
清々しくてゆかしい春の眼差し

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一番初めに咲き始めるあなたに、出逢える日を待ち望んでいた
いつしか、林床を埋めるように、この森はすみれ色に詩いだす。

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ほのかに香るタチツボスミレ
光に透けるその花色は、心に憧れを宿してくれる
ときめきのバイオレット…すみれ色の便り

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愛らしい、ヒナスミレの花を、とても探していた。逢いたくて…
桜貝の、透ける貝殻のようなシェルピンク
“すみれのプリンセスだよ”と、柔らかな眼差しで あなたは言った。

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雨に濡れれば、一段といとおしくて
今にも消え入りそうなたおやかさで…

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晴れには、どこかきりりと清々しく
群れて咲いても、凛と佇む…

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大勢で賑やかに、まるで小さなバレリーナのよう

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エイザンスミレは、まるで仔ウサギのように、
あちこちの岩陰から顔を覗かせる。

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そして、フモトスミレの愛らしさ
ちいさくて。ちいさくて。あまりにかわいくて…
白さは、紫に縁取られるように際立って輝く。

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清々しい5月の風 香る頃…
凛と歌う白いシコクスミレ
気高くて、その葉の柔らかな緑に美しく映えている。

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今年の写真ではないけれど、お気に入りの写真で、すみれ色の便りを綴ってみました。

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街角には… 

少し前の事だけれど、春を待つ青梅の街を散策した。
大きな樫の樹の巨樹がある小さな神社
前の日に降った雪の名残りが枝先に積っている。

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膨らみ始めた蝋梅にも雪

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紅い椿に雪

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ピンクの椿、咲く街角を曲がると

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石造りの蔵がある。

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ここは、蔵を改造して造られたレストラン&ギャラリー
時々、コンサートも開かれるそうだ。

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ガラスの扉を押して入れば、素敵な空間がひろがる。

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しっくりとしたこげ茶色の木の床。間接的な照明の心地よいほの暗さ

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ゆったりと静かな音楽が流れ、良質な時間が流れている。

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丁度、お昼時なので、ランチプレートをオーダーした。
ちょっと、暗くて上手く撮れていないけれど、とても美味しかった。

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珈琲も最高においしかった。ランチに珈琲が付いて¥1300だからリーズナブル

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2Fは、ギャラリーになっていて、今日は素敵な絵や陶器の作品が飾られていた。

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ウサギかな?子猫かな?ちいさくて、とてもかわいい♪

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知的障害を持った方の絵だそうだが、その色使いの素晴らしさに感動した。

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発想の自由さおおらかさも素晴らしい。

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穏やかな時間を過ごし、扉を開けて外に出た。
石造りの蔵って素敵だなぁと思う。

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わが街、青梅はこのお店のほかにも、気になるお店が、あと4つほどある。
また、時間と季節を変えて訪れてみたい。
街角をひとつ曲ると、違った景色が見えてくる。
小さな坂道を下れば、見慣れた風景も違って見えてくる。
その街を知れば知るほど、そんな散策が楽しくなってくるのだった。

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早春の花(ハナネコノメ) 

裏高尾でハナネコノメが咲き始めたとの情報を聞いて、そろそろかなと思っていた。
週末は2日とも雨の予報だったけれど、3月6日(土)に、奥多摩の風の谷に向かった。
この谷は、奥多摩分校の春の遠足の予定地で、春にはハナネコノメもヒナスミレもイワウチワもヒカゲツツジもミツバツツジもフデリンドウも咲く花の谷であり、初夏には、美しい渓谷に蛍も飛ぶというホタルの谷でもある。
雨具に身を包み、里道を行けば、梅の花が花盛りだった。

雨に煙る山

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雨粒をまとった梅の花。白梅も紅梅も、このピンクの品種も綺麗。

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渓谷沿いのいつもの場所にフサザクラの蕾が紅く膨らんできた。

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枯葉の地面からは、綺麗な黄緑色のフキノトウ

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小さな半鐘のある草地には、いつもコスミレが咲くのだけれど、今年はまだ見えない。

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苔むした小橋の手前のアブラチャンの蕾は、今にもはじけそうだね。

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ドキドキしながら、最初の渓流を覗くと…

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咲いていた…

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かわいい蕾が、やっと少し開いて、紅い蘂がのぞいている…

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もうひとつの不思議な花、コチャルメラも、枯れ葉のしたから顔を覗かせている

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すきっと、花茎を伸ばした姿もいいなと思う。早春の瑞々しさを感じる花だ。

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流れは清らかで柔らかい光を宿し

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酸素をいっぱい内包し、白く踊る。水の中にも春が生まれているみたい

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日当りの良い場所は、花開いている…ああ、かわいい♪

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最初のハナネコの花だね。また逢えてうれしいよ。

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こちらの蕾はピンク色…蘂がより、紅く染まって見えるね

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このこは、ほんのり、ピンク色、雨の雫が可憐さをより際立ててくれる

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このこは、蘂が、オレンジ色…何とも優しげ

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流れの中の岩には、今年もびっしりと蕾がついている。

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クモの糸には、無数の雨の雫が真珠のネックレスのように

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ハナネコの谷に別れを告げて、山道を辿れば、少し大きくなった福寿草が咲いていた
もうすぐ、散ってゆくわ… そうだね、ぼくらは、もうすぐ散ってゆくね…
雨の中で、何かを語り合っているようで…

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赤松の道を辿れば林床に、マンリョウの赤い実ひとつ

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そして、イワウチワの新しい群生地を見つけた。
険しい山道だけれど、ここは別天地。まさにイワウチワロードだ。

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雨に濡れて輝く葉っぱ

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蕾を見つけた。ひそやかに、花の時季を待っているんだね

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あちらも、こちらもイワウチワの海

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その先の道を辿れば、どこに出るのだろう?
山道を登りきってみると、うっすらと尾根が見える。

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雨脚は遠のいて向かいの尾根が墨絵に煙る

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シジュウカラが枯れ枝の天辺で美しく春の囀りを聞かせてくれた。

やがて登山道に合流したあたりで、もうひとつの別天地を見つけてしまった。
細い流れの両脇の岩をびっしりと覆うハナネコの群れ
少し登ってみたが、更に奥までずっとハナネコの葉が覆っている
まさに、ハナネコの谷だった。

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雨の中、すっかり濡れてしまったけれど、雨の中に咲く花たちに出逢えた。
そして、新しい花の谷や花の尾根にも出会えて、とても嬉しい山旅になった。

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わたしは、里の白梅に別れを告げて家路に着いた。

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早春の花(節分草) 

ニリンソウの咲く谷まで、様子を見に行ってみた。
荒川の支流の日野川に架かる木の橋を渡って行く遊歩道を歩いた。
けれど、いくつかの葉っぱを見るだけで、白い清楚な花姿はどこにも見えなかった。

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水温む渓谷の流れは、とても清らかだった。

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苔むした岩の間を流れる水は、白い飛沫を上げて美しい。
もう少しすれば、この渓谷にも白いニリンソウが春を歌いだすだろう。

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ちょっと、寄り道をしてしまったので、お目当ての節分草園に着くのが大幅に遅れてしまい、午後4時になっていた。
それに、小雨も降り出したので、わたしが着いた時には、誰一人、見学者はいなかった。
管理をしている地元のおじさんがまだいらっしゃったので、わたしは慌てて
「何時までですか?もう、今日はお終いですか?」と、尋ねた。
おじさんは、『4時半までなんですけれど、10分ぐらいならオーバーしても良いですよ。』と言って鍵を閉めるのを待ってくださった。
「ありがとうございます。」わたしは、そうお礼を言うなり、中に飛び込んだ。
一面の節分草が白い雪のように、緩やかな傾斜の林の中に咲いていた。

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わたしが、小道を入ると、白い妖精たちは、いっせいに、こちらを振り向いた気がした。

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『まぁ、随分、遅いじゃないの?』『もう、眠ろうと思っていたのよ。』とでも、ささやいているみたい。

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「ごめんなさい。遅くなってしまって、でも、今年もやっと逢いに来れたのよ」と、わたし。

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『そうだったの。逢いに来てくれて、ありがとう』『わたしたちも、やっと、綺麗に咲いたのよ』

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「ほんとうに、綺麗ね!あなたは、とっても美人さんね。花びらが雪のようだわ♪」

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「あなたも、横顔が素敵!紫の蘂が、とても綺麗ね♪」

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「寄り添うお二人さん、仲良しね。」

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「あなたは、花びらが7枚の可憐な花姿だこと」

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雫が涙のように…

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もう、眠りに着くのね…

おやすみ、春の妖精たち…
あなたたちが、林の中でおしゃべりをしながら、春が来た事をみんなに教えているのね。
「春が来たよ、目覚めなさい」「春が来たよ、花を咲かそうよ」って。

わたしは、節分草の花たちの間を走り回ってシャッターを切った。
ほんの短い時間だけれど、誰もいない林の中に、節分草とだけいる時間
この、30分が、たとえようもないくらい美しい時が流れていたような気がする。
はるばる逢いに来て、良かったと思う。

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一年ぶりに逢えた早春の妖精たちは、雪の間に目覚め
少しずつ春が満ちる頃、雪が溶けて大地に染み込むように跡形もなく消えてゆく
本当に儚い、そして清らかな春の使者たちだと思った。

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わたしは、薄暗くなった雨の林を後にした。

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早春の花(里の花) 

まだ、夢をみているような、福寿草の蕾たちに別れを告げて、秩父へと向かう。
途中、荒川の散策路を歩いてみる。
果樹園の合間に、長閑な里山が広がり、ニリンソウやザゼンソウ、カタクリ、水芭蕉、蓮と花々が咲き継ぐ、花の里だった。
ツグミやホオジロの声を聞きながら里道を歩けば、銀色の柔らかな猫柳の芽が空へと伸びる…

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蓮園には、朽ちた花ガラや折れた茎が青空を移した水面に影を落とす。

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蓮園からは、クークー、クルクルクル、と、くぐもるような鳴き声が溢れていた。
あれ?ニワトリかな?なんて思うような、たくさんの鳥たちが囀っているような声…
か細くて、心に染み入るような、歌うような声、心が癒されていく。
何の声だろう?…と思いながら蓮園の中に入っていくと

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時々、ポチャン、ポチャンと誰かが飛び込み、水面には波紋が広がる。
あれ?蛙かしら?

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やっぱり!蓮園の水の中には、たくさんの卵塊が、あちこちにあった。
この卵が孵ったら、いったい何匹のカエルになるのだろうか?
あの、初夏の蓮園で聞いた、カエルの大合唱を思い出した。

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水の中を覗いたら、いたいた!この平べったい顔のあなたは、何カエルさんでしょう?

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こちらの、かわいい子は?

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この子は、かなり大きいな。でも、じっと動かない…
気が付くと、狭い水路の中には、何匹ものカエルたちの死骸があった。
わたしは、はたと、気が付いた。
もしかしたら、カエルたちって、冬眠から醒めたら、恋の季節を向かえ、
卵を産み落とし、力尽きて死んでいくのだろうか?
鮭の産卵のように…

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自然の営みの不思議さに、改めて心打たれた。
蓮園の中では、真っ赤な金魚たちが、群れで泳ぎ回っていた。

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細く、か細く…
クルルル…と鳴くカエルの声が、どこからともなく湧き上がるように聞こえてくる。
春を喜ぶ歌…やわらかく、やさしく、どこか物悲しい歓喜の歌だった。
水際の畦では、星の瞳が咲き始めたばかりだった…

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そして畑ではフキノトウが、芽生えていた。

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小さな星のような花だった。

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category: 森・山

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早春の花(福寿草) 

2月最後の週末、早春の花を探して奥武蔵を歩いた。
朝のうちは雨だったけれど、10時頃には雨が上がってきたので、思い切って出かけた。
昨年、吾野のある場所に、福寿草が自生している事を教えてもらった。
暖かい日が続いたので、そろそろかな?と思って少し前に訪ねたら、まだ、影も形もなかった。
『雪が降らないと咲かないんですよ。今年はまだ降っていないから…』とのこと。
ふーん、そうなんだ…福寿草は、雪が降って、その雪が溶けて、春を知るのかもしれない。
ちゃんと、自然の道理を、花は知っているのだろう。

自生地に向かう道すがら、栗畑の斜面が、一面黄色に染まっていた!

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思いがけないところで、出逢ってしまった。

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こんなにたくさん、咲いているなんて!きっと、あの場所の福寿草も咲いているに違いない。

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わたしは、嬉しくて、何枚も写真を撮った。足元には、星の瞳の青い花…

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雫を、花びらにひとつ宿していた。

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畑の縁には、クロッカスの花も鮮やかな黄色の花を咲かせていた。

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福寿草の咲く栗畑の脇に建つ、里の家。

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枝垂れ梅も、蕾がほころび、ピンクの花を付け始めた。

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やがて、目指す自生地に着いた。
訪ねたうどんやさんのお雛様…家のお雛様も早く飾らなくちゃ。

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とても古いお雛様が、古民家の家屋に良く似合う。

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美味しいうどんをいただいて、福寿草の咲き具合を尋ねると
『咲き始めましたよ。先週は寒かったから、まだ少しだけれど』とのこと。
自生地に向かう道すがらの藪椿の枝からは、ガビチョウが慌てて飛び去り、その後、賑やかにシジュウカラが、やってきた。

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「わぁ~!咲いている!」
薄曇の空模様に、初々しい蕾が、ほんの少し開き始めている。

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雫をいっぱいつけている…

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金色に輝く雫…綺麗。

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開いた花芯は、黄緑色

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蘂が寄り添って

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初々しい

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ここの福寿草は、何とも不思議な金色のがくを持っている

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開き始めると内側は、黄色の花びら

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外側は金色…

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中にはこげ茶色のこんな蕾も…

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開くと、こんなに綺麗な黄色。

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まだまだ、たくさんの蕾たちが咲きたがっていた。

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小さな山の斜面は、福寿草たちの花園になる事だろう。

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わたしは、名残惜しいけれど、福寿草の土手を後にした。
もうひとつの、早春の花に逢いに行くために…

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続く

category: 森・山

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