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風立ちぬ

日々の想いを風に乗せて…

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わたらせ鉄道 

おかあさん、寝台列車って乗ったことある?

そんな風に娘のアイリスが聞いた。

ブルートレインね。昔、修学旅行で一度乗ったことがあるわ。
三段のベットになっていて、おかあさんは一番上の段に寝たのよ。
狭くてちょっと窮屈だったけれど、楽しくていつまでもおしゃべりしてると、
見回りの先生が夜中に回ってきて、その時だけ、みんなで寝た振りするんだけれど、すぐに、くすくす笑いが始って、先生に、「こら、早く寝なさい!」って怒られちゃうのよ。

へー、楽しそうだね♪今も、走ってるのかしら?乗ってみたいな。と、アイリスが言う。

そうね、確かカシオペアって列車で北海道まで行けたような気がするわ。
もしまだ、走っていたら、いつか乗ってみようか?


そんな話をした週末のこと、わたしは、群馬にあるシャロムの森に行って見たいと思っていた。
アイリスを誘って家を出た。まず、草木湖を目指す。
シャロムの森は、この湖の支流の川にある管理釣場だった。
何度かホームページを見ていて、豊かな森や清らかな渓の佇まいの美しさに魅了された。
そして、その森の奥に佇むというカツラの巨樹、シャロムの樹に逢ってみたいと思っていたのだった。

シャロムの森を探しているうちに、道路の脇をなんとも素敵な線路が走っている事に気がついた。
前日の寝台列車の話が、何だか伏線になって、導いてくれているような気がして、思わずどんな駅なのか、ちょっと寄道してみようかという事になる。
駅名の書かれた標識のある脇道を曲がり、細い坂道をどんどん降りていくと…

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わぁ~!何だか素敵じゃない!
これが駅なの?今も使われているの?

それは、小さな木造の駅だった。まるで、物語の中に出てきそうな古びた駅が、ポツンと立っていた。

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古びて、ピタリと閉まらなくなっているような、引き戸をガラガラと開けてみると、待合室には子供たちが書いた絵が飾られていた。
木のベンチには、地元の人の手作りだろうか、素朴な座布団が並んでいた。

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木の改札口…無人駅なので、ここに駅員さんが立つことは無いのだろうなぁ…

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静かなホームに出てみると、秋の陽射しがさわやかで気持ちが良かった。
単線の線路が続いていて、いい感じだなぁと眺めていたら、

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何と電車が入ってきた!

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2両だけの小さな電車が、ガタン、ゴトンと入ってきてしばらく停車して、

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また、ガタン、ゴトンと、
ゆっくりと、小さくなって、去って行った。

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すごいねぇ、まるで夢を見ているみたい。
物語の中にいるような、昔にタイムスリップしたような、そんな気持ち。
何だろうね。この感じ・・・素敵なことが起こる予感みたいな。
次の駅にも行って見ようか?
わたしたちは、車に乗り込み線路沿いの道を走って次の次の次ぐらいの駅に辿り着いた。

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なんか、こちらの駅もいい感じじゃない!
ほんと、なんて素敵なの!

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屋根の上の煙突から煙が出ている。こちらは無人駅ではないようだ。
見て、駅のそばの樹は、銀杏よ。銀杏の葉が黄色く色づいて、落葉の時を迎えたら、あの古い瓦屋根の上にハラハラと降り積もるのよ。どんなに素敵かしら…

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駅舎に入ってみると、奥の部屋でおみやげ物を売っているおばさんがいた。
「今朝作ってきたんだよ。野菜も取れたてだから見ていってください」と言う
おばさんの笑顔がとても優しそうで、
大福餅と、サトイモと梅干を買った。どんな取り合わせかしら?(*^_^*)

向かいのホームには、“清流レストラン”という電車車両を利用したのレストランもあった。

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線路の佇まいも、郷愁を誘う。ホームの高さが低いのが、なんともいい感じ。

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歩線橋の上からの眺めも良いかも、なんて言いながら上っていくと、

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あれれ、なんと、また電車が入ってくる。
わたしたちは慌てて駆け上がる。

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この駅では、何人かの人が降りてきた。

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記念撮影をする人。長閑だなぁ…

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お土産を売るおばさんの笑顔が素敵。

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素敵な駅だったね。
それに、かわいい列車だったね。今度は、ぜひ、あの列車に乗ってみたいよね。
わたしたちは、嬉しさに瞳をキラキラさせながら話が弾むのだった。
名残惜しいけれど、その駅を後にして、シャルムの森を目指した。

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やがて車は、大きな橋を渡った。不思議なほど青い水をたたえた大きな川が流れていた。
わぁ~!綺麗♪なんて綺麗な水かしら。
わたしたちの他には一台も車が来ないから、橋のたもとに車を止めて飛び出した。

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川幅が広がってとても広々と気持ちの良いところ。
太陽の光なんか燦燦と眩しくて、心地よい風が川面を渡って吹いてくる。
川の水は、まるで澄み切って、美しいブルーを滲ませて輝いている。
川床の石は真っ白で、まろやかで、とても綺麗で心和ませる。
遠くの山、白い雲、片側をゆく、線路…
ずっと見ていても飽きない風景だった。

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川の水が綺麗で、川床の石は光る砂のよう…

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光は水に潜り、反射して光の網のように大きな岩の上に映りこむ

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細やかな流れはさざ波を立てて、煌く白い光の束に

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なんて綺麗なブルー、橋の上から眺めながらため息が漏れた。

ここは、渡良瀬橋かしら?

渡良瀬橋?

うん、森高千里さんが歌っていた渡良瀬橋という歌があるのよ…
そうかアイリスは知らないよね。

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♪渡良瀬橋で見る夕日を あなたはとても好きだったわ
きれいなとこで育ったね ここに住みたいと言った
電車に揺られこの街まで 貴方は会いに来てくれたわ
私は今もあの頃を 忘れられず生きてます

今でも八雲神社へお参りすると あなたのこと祈るわ
願い事一つ叶うなら あの頃に帰りたい♪

きっと、ここから夕日を見たら綺麗なんじゃないかしら?

橋を渡り終わると、踏切があって渡良瀬鉄道の線路が続く、

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うーん、なんかスタンド・バイ・ミーの世界!
わたしは、思わず線路に降りて、枕木をとんとんと渡っていった。

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その先は駅になっていた。

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線路脇のこんな風景も懐かしい。

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今は、きっと、こんな駅、そうはないと思えた。

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ホームの待合所も、歴史を感じさせていい感じ。

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ポスターには、トロッコ列車が映っていた。一日に1本だけ走るらしい。

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時刻表を眺めていたら、あら?もうじき、電車が来るわ。

しかも、トロッコ列車みたいよ。

ドキドキしながら待っていたら、ホームに電車が入ってきた。

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トロッコ列車は、汽笛をあげ、4両の車両を引きながら、ガタン、ゴトンと走りぬけ、

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川沿いの線路を走り過ぎていった。
旅の情緒満喫だった。素敵な旅を、本当にしてみたくなったね。

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沢入と書いてそうりと読むらしい。この駅も無人の駅だった。

考えてみたら、こんな風に無断で駅の構内に入れる場所なんて、本当は今時無いよね。

見送りだって、入場料を払わなければいけないのにね。

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空は抜けるように青かった。

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ナナカマドの実もたわわ。

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ナツツバキの暖かみのあるオレンジ色。
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紫陽花の上品な薄紫の葉

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ナナカマドの紅い実が、ほんと、綺麗♪
高原に来たような気がするね。
うん、尾瀬を思い出すなぁ…

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わたしたちは、すっかり満足してしまった。
もう、帰らなければいけない時間になってしまった。

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少しだけ、山の中へと入ってみたけれど、

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シャロムの森は見つけられなかった。

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でも、充分な気がした。
ここまで来たんだもの。こんなに素敵な渡良瀬鉄道を、何度も見ることが出来たのだもの。
思いがけない出逢いがあった。
「人生とは、何かをしようとしている時、他の何かを見つけてしまうこと…」
星野さんの言葉でしたね。今日は、そんな一日でした。

シャロムの森も、シャロムの樹も、この先の森のどこかにあるんだ。
いつか、必ず、逢いに来よう。
わたしたちは、そう、心に誓って帰り道を急いだ。
もう、日は、傾き始めていた。

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秋の便り 

緋色に色づいた一枚の葉が、秋の森へとわたしを誘う
小さな枝先に、舞い降りて、陽射しを受けて燃えている
いつか、こんな、ひと葉の便りを、あなたはわたしに届けてくれた

森の中でたくさんの色づいた葉の中で
ただ、ひと葉の秋の便りを、わたしは今も忘れずにいる

きらきらと燃え立つ、ちいさな炎のようだった
あれは、きっと、あなたの胸の赤…

木の葉は役目を終えて、ひと際、輝いて散り往くけれど
自然はめぐり往くもの、新しく、命の息吹はめぐるもの
緋色のひと葉は、今年もわたしに語りかける。

きっと、いつまでも変わらない、胸の想いを…

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追憶の秋 

ミズナラの森で…

静かなるミズナラの森で、その森の主のような、ミズナラの巨樹と出逢った。
森の木々は、見事な彩りで、錦の綾が空を飾る。

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ところどころ、その隙間から日の光がスポットライトのように差し込んで、
地面を覆いつくした落ち葉の床に、まるで燃えるように鮮やかな光の模様を作っていた。
わたしは、古びた倒木に腰を下ろし、黄葉に縁取られた青い空を見上げた。
梢からは、はらはらと降り止むことも無く、木の葉がこぼれ落ち、
時折り、微かな風が起こると、どこかの木の枝先だけが、ざわめき揺れて
際限も無くさらさらと木の葉が流れ始めるのだった。

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耳を澄ませば、木の葉が風に舞う音が聞こえてきて、風の行く方がわかり、
木の葉が時折り、きらきらと輝くのを見て、光の越し方を知る。
ミズナラの巨樹は、ぽとり、ぽとりと木の実を落とし続け、
わたしは、リスがいるのじゃないかと思いながら、梢を見上げるのだった。

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静かな森で、枯葉の散る音に耳を澄ませていると、こころの中が浄化され、
まるでこの森の一部になったような気がして、満ち足りた想いに包まれたのだった。

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今年も、そんな季節がやってくる。
ミズナラの森に、遊んだあの日に…今年もきっと、追憶の秋が語りかけるだろう。
森の片隅に咲いた、ひそやかな花のように。

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風をつかさどるものたち 

鷹の渡る季節

10月4日

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その山の頂では、熱い想いの人々が、みな一様に空を見上げて待っていた。
南へと渡っていく鷹の姿を…。
きっと、鷹を見る人々は、鷹の渡りで秋の訪れを実感するのかもしれない。

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やがて、抜けるように青い秋空の遙か上空に黒い点のような鷹の姿が現れる。
誰かが『来た!北西の方角に一羽います。』と声をあげると、みんないっせいに同じ方角を眺める。
『どんどん、こちらに向かっています。速い速い!』
『一回、羽ばたいて、そのまま流れて行きます。風に乗ったようですね!』

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『サシバのようですね。あっ、後方からもう二羽やってきます。』
『その後、後続に、3羽、4羽、5羽、続きます!』
『ようし、いいぞ!どんどん仲間を連れて来い!』
『凄い!20~30羽の群れが渡ります!』
『あっ!旋回を始めた。どんどん廻り始めました。これは、鷹柱になりますね!』

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クリックして拡大してご覧ください(それでも小さいですが)

そんな声を聞きながら、わたしは、必死で双眼鏡で鷹の姿を追った。
大空に放たれた矢のようなスピードで、南西の方向へ流れて行く鷹、
いっぱいに広げた翼に風をはらんで上昇気流に乗って、大きく旋回しながら高く高く上がっていく、これが帆翔であり鷹柱というのだと教わった。

青空をバックにした鷹のシルエットが、時折り陽射しを受けてきらりと光る。
なんて美しいのだろう。初めて見る光景に胸をときめかせた。

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今度は東からやってきた群れが、凄いスピードでこちらへ近づいているという。
『こちらへ向かっているぞ!どんどん近づいてきます。』
『これは、真上を通過するぞ!』
『サシバの中にハチクマもいます。』
『あっ、お腹が白い、ミサゴだね。綺麗だ~♪』

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『おや?ツミの声がする。』
『あっ!、やっぱりツミが飛び出したぞ!オオタカかノスリにちょっかいを出しに行ったな!』
『おっ!追いかけてる!空中戦だ!』
『相手はオオタカですね。多分!』

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小さな体なのに、自分の倍ほどもあるオオタカに挑んでいくツミ。
からかっているのだと言う人もいるし、遊んでいるのだと言う人もいる。
どちらなのか鷹の真意はつかめないが、二羽は激しい空中戦を繰り広げた。

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わたしは、始めてみる鷹同士のバトルにドキドキした。
ツミとオオタカは数回翼をあわせてぶつかり合ったようにも見えた。
数分間のバトルの後、二羽はスーッと離れていった…

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日本野鳥の会の方がいらっしゃるようで何度か、他所の鷹渡りのポイントから連絡が入る。
聞けば、青梅にもポイントがあり、日向和田の梅の公園にあるらしい。

誰かが、『青梅ではかなり、飛んでるらしいですよ。』と言った。
また、携帯が鳴る。今度は浦和の野鳥の会からの伝言らしい。
『今、浦和を大きな群れがこちらへ向かって通過したらしい。もうじきこちらにも来るぞ!』と、野鳥の会の方が言っている。
「もうじきって、後どのくらいですか?」と訪ねると、
『そうだな、あと30~40分ぐらいかな、今のうちにお昼を食べといたほうがいいぞ。来たら食べられなくなるからな。』そう言って、その方はお弁当を広げた。

頂上にある小さな小屋。この小屋は、週末になると麓から上がってくるおばあちゃんと息子さんが続けていた。でも、今年で、三代80年続いた茶店を閉めるのだそうだ。
わたしは、昨日、少しお話を交わしたおばちゃんの、優しい笑顔と息子さんの穏やかな笑顔を思った。
少しも気負う事無く、この山の頂で過ごす時間を大切にしているようにも見えた。

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手書きのお品書きも味わい深いと感じた。

この小さな小屋に、どんな物語があったのだろう。秋になると鷹の渡りを見あげる人々や、春夏秋冬ハイキングに訪れる人々を、きっと見守っていてくれたような気がした。そんな歴史にピリオドを打つ。何だか寂しい…ナと思った。

わたしも、おむすびを食べようと、茶店のおばあちゃんのところで、ウーロン茶を買った。
すると、誰かが叫んだ。『来たぞ!』
みんな慌てて、双眼鏡を持って立ち上がる。
『おお、来た来た!凄い群れだ。』
『旋回を始めた。鷹柱を作るぞ!』
え?鷹柱?そう思って、みんなが見ている真上の空を見上げると、20羽近い鷹が、大きく旋回を始める。

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こちらも、クリックして拡大してご覧ください。

やがて、ある程度の高度を上げるとみんな南西へと流れて行く。
その先には、富士山があるのだそうだ。
「ふーん、鷹も富士山を目指すんですね!」と、わたしは呟く。
その間にも、次から次へと鷹は渡って行き、切れ目が無い。
ズーっと見ていたいのだが、首が痛くて堪らなくなり、わたしは、双眼鏡から目を離した。
でも、誰も、目を離している人はいなかった。みなさん、さすがベテランのバーダーだと感心してしまった。

ひとしきり、鷹が渡った後、みんな、嬉しそうな笑顔を輝かせた。
『速かったですね。浦和から、15分で来たよ』
『いやぁ、高かったねぇ。かなり上を風が流れているんだね。』
『これだから、鷹はいいよね!毎年通って来てしまうんだよね。』
中には、もう、何十年も通っている方もいらっしゃた。
その人は、肉眼で鷹を見つけてしまうのだという。素晴らしいなぁとそう思う。

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 トビの飛翔。

また、渡り以外の猛禽類のトビやオオタカ、ノスリ、ツミ、チゴハヤブサ、ハイタカなども見ることが出来た。
その他の渡りの鳥は、ミサゴ、ノスリ、アマツバメ、イワツバメ、ショウドウツバメが見られた。
コサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキも見ることが出来てとても嬉しかった。
アサギマダラも美しく舞って満足だったし、思いがけず60羽近い群れで渡っていく「カモ」か「ガン」の渡りも見ることが出来て、素晴らしいサプライズだった。

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たった、2回目で、こんなにも素晴らしい日に出逢えたこと、そして、優しい先輩バーダーの方々に出逢えて感謝の気持ちでいっぱいになった。
午後2時を回り人々はみな、しあわせな想いを胸に一人、また一人と山を降りていった。
『お世話になりました。また、来年お逢いしましょう。』みなさん、そんな風に言葉を掛け合って去っていく。
わたしも、お世話になった方々にお礼をいって、山を降りた。

『また、来年もいらっしゃい!』『また逢いましょう!』
みなさん、そう言って見送ってくださった。

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遠い空の彼方を渡り行く鷹たち。
見ようとしなければ、少しも気づく事無く、わたしたちは日常を過ごしていくだろう。
鷹の渡りを見なくても、少しも困ることも無く、日々、過ぎていける。
でも、そんな渡りを熱い想いで見上げる人たちがいる。

小さな山の小さな頂で、ただひたすら空を見上げながら
翼を煌かせ、翼を広げ、大空を渡り行くものたちに想いを託す。
神々しくて、何か大きな力を感じて突き動かされる想い。
そんな、小さくて、大きなものを感じる人たちを素敵だと思う。
そして、わたしもまた、密やかで遥かなドラマを見つめられるそんな人でありたいと思う。

風をつかさどるものたち。
一年に一度の出逢いを胸に刻んだのだった。

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風の使者 

鷹が渡る季節に・・・

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       サシバの渡り


10月3日と4日、天覧山に念願だった鷹渡りを見に行ってきました。
山頂には、鷹渡りを見る方々がたくさん集まっていました。
鷹渡りビギナーのわたしは、天覧山・タカ渡り観察グループのメンバーの方々に大変お世話になりました。
みなさん、とても優しい良い方たちばかりで、鷹渡りばかりでなく、いろいろな分野に精通している方々が、いらっしゃったので、自然観察会のようなひと時もあり、勉強になりました。
また、鷹渡りで有名な白樺峠の場所や、飛んでいる鷹の名前など楽しく教えていただきました。
もし、当日、お世話になったみなさんの中で、ここをご覧になった方がいらっしゃいましたら、心からお礼申し上げます。
2日間、ありがとうございました。

10月3日

早朝、目覚めると天気予報に反してとても良い天気♪
気持ちの良い青空が広がっていた。
きっと、鷹が渡るに違いないと信じて、いそいそと家を飛び出した。
けれど、天覧山に着くころには、すっかり曇り空になってしまった。
天覧山は200メートルに満たない低山だが、結構登りはきつい。
息を切らせながら頂上に着くと、すでに10数名の方々がスタンバイしていた。
ちょっと、緊張しながら、「おはようございます。」とご挨拶をする。

めまぐるしく変わるお天気に、雨が降り出すと、展望台の下に避難し、雨が上がると再び展望台に出て空を仰ぐと言うことを数回繰り返した。
あいにくのお天気に午前中は、鷹は渡らなかったけれど、展望台から眺めていたら、見慣れない蝶が、翅を休めている姿を見つけた。

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最初、翅の紅い斑点がオオムラサキかな?と思ったが、望遠レンズで引き寄せてみると、どうも違う?
やがて、翅を閉じたが、やっぱり見たことのない蝶だった?

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すると、蝶に詳しい方が、これは、“アカホシゴマダラ”という蝶で、日本では奄美大島に生息しているが、この蝶は、中国辺りから持ち込まれ放蝶されたものが繁殖したのではないかと推測されていると教えてくださった。

そして、食草のエノキの葉にいる幼虫を教えてくれた。
オオムラサキの幼虫にとても良く似た可愛らしい幼虫だった。
幼虫で越冬するのだそうだが、日本にはエノキを食草とするオオムラサキやテングチョウなどがいるので、その影響が心配されているのだとか伺った。
最近、増え続けているツマグロヒョウモンの食草はスミレで同じくスミレを食草とするシジミチョウたちの生態系へ影響がでているのだそうだ。
鳥にしても蝶にしても、持ち込こまれたものたちの命になんの変わりもないのだけれど、難しい問題だと思った。
一心にエノキの葉を食べる幼虫に、“がんばって冬を越すんだよ…”と心の中でつぶやいたのだった。

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また、風の乗って、ふわり、ふわりと舞うアサギマダラの姿も見ることができた。
何度も山頂の空を回るように飛んでくれ、その透き通った翅の空色が、なんとも美しく
山頂で鷹を待つ人たちと一緒に、しばし癒され、うっとりと眺めたのだった。
やはり、同じ渡りをするアサギマダラのことも、みなさん良くご存知だった。
『おお、アサギマダラだ。こんな小さな蝶が海を渡るんだからなぁ…』
「ゆったりと舞うように飛んでますが、海を渡る時には、もっと羽ばたくんでしょうか?」
『いや、鷹と同じだよ。このままの飛び方で、ふわふわと風に乗って渡っていくんだよ。』
そうかぁ…鷹と同じなんだ…鷹を見上げる時と同じ目線で、愛おしく小さな蝶を見つめている。
何だか、そんな人々が、とっても素敵だと思えた。

ウラギンシジミもやってきて、バーダーの三脚に止ったり、ひとしきり飛び回っていた。

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黒目がちな目がかわいいし、白い小さな足もかわいいな。

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そして、お昼ごろ、メジロ、シジュウカラ、エナガ、ヤマガラ、コゲラたちの混群がやってきて、ひとしきり展望台下の松やヒノキの枝を渡り、可愛らしい姿を披露してくれた。
いつもは、高い梢にいる姿を下から眺めていたが、ここでは目の高さや、それよりも下の枝にいる姿を見ることができたので、とても良く観察できた。

カケスやトビが飛ぶ姿、オオタカが向かいの山の杉の梢に止りじっと獲物を狙っている姿もスコープで見せていただいた。
胸元が真っ白な立派な成鳥だと教わった。このあと、このオオタカはヒヨドリかカラスを捕食したらしい。向かいの山で繰広げられたそんな小さなドラマを、この山頂から眺めていることが不思議だった。

また、ヒヨドリたちが100羽以上群れで渡る姿も確認できた。
いつも里にいるものと思い込んでいたヒヨドリも、日本国内の中だけれども渡っていくのだと教えていただいた。
海を渡るヒヨドリの群れもいて、猛禽に教われないように、集団で固まって渡るのだと言う。
ヒヨドリたちは、羽ばたいて上昇し、翼を閉じて下降する、あの流線的な飛び方で、頂上近くの木からいっせいに飛び立って、向かいの山に消えていった。
100羽近い群れだったそうだけれど、いったいどこまで行くのだろうと、わたしは、いつまでも彼らの姿を見送ってしまった。

お昼過ぎ、やっとお天気が回復してきて、上空に青空が広がり始めた。
鳥見の人々たちの間に、『さぁ、飛ぶぞ~!!』という、活気が盛り上がってきた。

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どなたかが、『でたぞ!サシバだ!』と声を上げる。みなさん、いっせいに空を見上げる。
わたしも、みなさんが眺める方向を見るのだけれど、全く見つけられない…。
「え、どこですか~?」と声をあげると、親切に数人の方が、その場所を教えてくださる。
『向こうに見える松の木の上、一時の方向、かなり上のほうを見てください。』
『もっともっと、高いところだよ。いまは東へ流れ出しているよ。』
最初は、全く見えなかった鳥影が、黒い点として肉眼で捉えられた。
「あっ!!見えた!わたしにも、見えました♪」嬉しさに思わず声を上げる。

ああ、これがサシバ!憧れのサシバの渡りだ!もう、感動で胸が震えた。
サシバは、翼を水平に広げ、速いスピードで遥か上空を滑空していく。
すごい!これが鷹渡りなんだ。いろいろと話は伺ってはいたけれど、初めて見る鷹の飛翔に、わたしは心を持っていかれてしまったような気がした。

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そして、その後、しばらくしてチゴハヤブサが渡っていった。
まるで、三日月のような翼のカーブ。これが、チゴハヤブサなんだ。
名前とその翼の形は、図鑑で見て知っていたが、今、遥か上空を通過していくのを自分の目で眺めている。そう思っただけで、わくわくとした喜びに包まれた。

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この日は、7羽しか渡らなかったけれど、わたしには十分だった。
そして、3時少し過ぎに最後のサプライズ。頭の真上の空を、ハチクマが一羽、西南の方向を目指して、一直線に滑空していくのが見れた。
頭上をこんなに低空で飛んでいくのはめったに無いのだと、ベテランのバーダーさんが教えてくれた。

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『明日、晴れたら、もっと飛ぶよ。ぜひ、明日もできるだけ早くにいらっしゃい。』と、親切にしてくださったNogさんとIsoさんがおっしゃった。他のバーダーさんたちも、口々にそう言ってくださった。
きっと、もっと、鷹渡りを好きになってもらいたい。もっと凄い渡りを見せてあげたい。と、そんな気持ちで教えて下さっていたのだと思う。
本当に、鳥を愛する気持ちはみなさん同じくらい強いのだと思うと、この人たちに出会えた一期一会に感謝したいと思った。

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みなさんが、山頂を去られたあと、店じまいを始めた茶店でウーロン茶を買ったら、茶店のおばあちゃんが、『ススキをお持ちになりますか?今日は十五夜さまだからね。』とおっしゃった。
「あら、十五夜だったんですね。すっかり忘れていました。ススキ、いただきます。今夜、飾ってお月見をします。」と言うと、おばあちゃんは、山頂に生えているススキを数本切って、手渡してくれた。
毎週、土日には、山に上がって茶店を開いているそうだ。手伝っていらっしゃるのは息子さんだろうか?商売っ気はまるでなくて、山に上がってきて、本を読んだりして過ごしていらっしゃる。そんな感じが素敵だと思った。そして穏やかな物腰のやさしさが、気のいい方たちだということを物語っているような気がした。

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山頂の岩に腰掛けて、少し、おばあちゃんとお話をした。
「ここは、夕日が綺麗そうですね。」
『見れる日は、めったに無いんだけれど、焼けた時は、すごく、綺麗よ。
あの辺りの山に沈むんだけれど、周りが赤く染まってね、ずーっと向こうの方まで綺麗に見えるのよ。でもね、ここで夕日を見てると、山の中は真っ暗になっちゃうのよ。』
おばあちゃんは、そう言って笑った。

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なんだか、いいなぁ…(*^_^*)わたしもいつか、そんな夕日を見に来たくなったのだった。
おばあちゃんに、お礼を言って山から下りると、里道に咲いたコスモスにツマグロヒョウモンがふわりと舞い降りた。すっかり、里の蝶として定着したんだなぁと思ったのだった。
今日は焼けそうも無いけれど、きっと、明日は晴れるだろう。
明日も、また来よう…そう心に誓って家路に着いたのだった。

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鷹渡り日記は、明日に続きます。

category: 森・山

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風立ちぬ… 

今まで、綴ってきたブログ、“SOMEDAY”が、容量がいっぱいになってしまいました。
大好きな、佐野元春さんの曲、SOMEDAY から名付けたブログ名で、とっても気に入っていたのですけれど、新しいブログにお引越しをすることになりました。

新しいブログの名前は、“風立ちぬ”にしました。
尾瀬ヶ原の片隅にある小さなベンチ。
あまり人気の無いそのベンチに腰掛けて、ぼんやり風に吹かれながら空や湿原や、彼方に聳える燧ケ岳や至仏山を眺めるのが好きでした。

白樺の葉がさらさらと風にざわめいて、湿原の草がいっせいに、なびいています。
突然、吹き抜ける風はとても澄んでいて、心地よい夏の終わりの匂いを乗せていました。
わたしの耳元で吹き抜ける風が何かをささやいているようで…

風立ちぬ、いざ生きめやも。   堀辰雄の小説の言葉が浮かびました。

風立ちぬベンチ… その時、わたしが付けた名前です。
今は、しばらく訪れていないそのベンチ。
けれど、わたしの尾瀬の友人たちが、代わる代わる訪れては、そのベンチに座り風の音を聞いてくれます。
そして、『風立ちぬベンチ』と、みんな、その名を呼んでくれます。

風立ちぬ。 好きな言葉です。この言葉を新しいブログの名前にしました。

ちょうど、風をつかさどる風の使者のような、鷹たちの渡りを見た日の晩でした。
風立ちぬ、いざ生きめやも。 この言葉が静かに胸の奥に共鳴していきました。

風立ちぬ いまは秋 今日からわたしは心の旅人~♪
聖子ちゃんのこんな歌もありましたね。

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SOMEDAY”同様、よろしかったら、これからもお付き合いください。

category: 日々の思い

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